今年5月に乃木坂卒業
今年5月、センターを務めていた女性アイドルグループ「乃木坂46」を卒業し、女優、モデルとして活躍している。
「今、すごく楽しくお仕事をやらせていただけています。思ったほど寂しさがないのは、卒業してからもついてきてくださるファンのみなさんがいてくれて、安心して個人の仕事に集中できるからだと思います」
卒業後に2週間のお休みをもらい、海外でリフレッシュしたという。
「すごい解放感でした。それまではライブに向けて食事制限も頑張っていたので、大量にピザとかを食べましたし、それまでは日焼けを気にしていたのですが、ガンガン海で泳ぎました」と大きな瞳でニッコリと笑った。
22日公開の浜辺美波主演の映画「六人の嘘つきな大学生」(佐藤祐市監督)で語学力と人脈に自信を持つ就活生・矢代つばさ役を演じている。
「矢代は、自分のやりたいことに精いっぱい頑張るまっすぐな女の子で、(性格が)強い部分もあるのですが、それは裏にある自分の弱さや自信のなさがあるからで、そんな不器用なところがかわいいなと思いました」
人気エンターテインメント企業の新卒採用で最終選考に残った6人(浜辺、赤楚衛二ら)は、「6人でチームを作り、グループディスカッションに臨む」という課題を与えられ、全員での内定獲得を目指していた。その後、急な課題変更の通達があり、6人の中で勝ち残るのは1人だけ、その1人は彼らで決めることに。最終選考の会議室では怪しい封筒が見つかり、6人それぞれを告発する内容が。就職活動を舞台に、6人の裏の姿が次々と暴かれていく。
「毎日同じキャスト、スタッフでスタジオに籠りきりで朝から晩まで撮るという、合宿のような撮影だったので、会議のシーンが終盤になるにつれて、みんなの顔もいい意味で疲れていて、リアルさが出ています(笑)」
最初のあいさつ大事に
就職試験とは違うが、彼女には数々のオーディション経験がある。その時に心がけてきたことは、「最初のあいさつ」だという。
「やはり第一印象が大事だなって。最初に入室するときから、『前髪が目にかかっていないか』『自分の顔と声で、名前を覚えてもらう』というのを大事にしているんです。もちろん、ただ明るく見せるわけではなく、その役が落ち着いた人柄だったら、そのように見せたり、その役の髪形がボサボサな感じがしたら、セットをせずに行ったりすることもあります」
さすが! これまでさまざまなオーディションに受かってきただけはある。乃木坂46のオーディションに受かったのは17歳、高校2年生のときだ。
「急に大人の世界に入って、東京都内で独り暮らしも始めて、何でも1人でしなきゃいけない状況になったので、寂しさや大変さもありましたが、『自分で生きていかなきゃいけないんだ』みたいな気持ちには、周りの(同世代の)人よりもちょっと早く行きつきました」
アイドルになりたてのときは、コンプレックスに悩んでいたが、思考を変えることで乗り切れるようになった。
「どうしても他者と比べてしまって、自己嫌悪に陥ってしまう時期があったのですが、結局、自分が成長すると、それに伴って仕事も増えていくので、全部、自分次第なのだと気づきました」
さらに、「自分を大切にすること」を学んだ。
「時間はどうしても進んでいくし、今日どれだけ失敗しても、明日はまた朝起きて仕事に行かなくてはいけないので、そんな中で自分を嫌いにならずにいられる方法は、自分を大切にしてあげることでしかないんです」
体と心のサインを聞く
それは自分の〝体と心の声〟を聞くことでもある。
「毎日忙しく過ごしていると、自分の体と心のサインを無視して頑張るとか、自分はこうしたいけど、大人の意見を聞いたほうが楽だと考えてしまいがちです。それは1つのやり方ではありますが、やはり自分に噓をつかずに納得できる働き方や生き方をするのは大事なことですよね」
25歳と若いのに、しっかりしている。日々、自己と向き合い、成長していったから、今の輝く彼女がいるのだ。
■山下美月(やました・みづき) 女優・モデル。1999年7月26日生まれ、25歳。東京都出身。2016年に「乃木坂46」の3期生オーディションに合格して、デビュー。センターを務めるなどグループのエースとして活躍し、24年5月に卒業。NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」、日曜劇場「下剋上球児」(TBS系)、火曜ドラマ「Eye Love You」(TBS系)、「降り積もれ孤独な死よ」(日本テレビ系)などに出演した。
(ペン・加藤弓子/カメラ・酒井真大)