4年ぶりにセ・リーグを制しながら、DeNAとのクライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージでは貧打に泣いた巨人。打線強化が至上命題の今オフは阪神からフリーエージェント(FA)となった大山悠輔内野手(30)の獲得に熱を上げるが、加入すれば定位置を争う可能性が高い坂本勇人(35)、岡本和真(28)両内野手の胸中は―。
5年契約最終年の坂本は26日、東京都内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、1億円減の来季年俸5億円(推定)でサイン。長年慣れ親しんだ遊撃を離れて三塁手に転向した今季は、6月に不調で2軍落ちも経験するなど打率・238、7本塁打、34打点と、1軍定着以降ではワーストの成績に終わり、「こんなにうまくいかないことってあんまりなかった。すごく考えさせられた1年でした」
就任1年目の阿部慎之助監督(45)にとって、打線の悩みとなったのが「岡本の後を打つ核がいない」こと。坂本も50試合で5番を務めたが打率・239と定着に至らず。CSでは岡本が初回から申告敬遠されるなど徹底マークに遭って打線を分断され、DeNAに下克上を許す要因となった。
坂本も5番候補として大山が欲しいチーム事情は理解できるとはいえ、大山が一塁に入れば岡本が三塁に回り、自身のポジションを失う危機ともなるが、「それも当然のこと。ジャイアンツは勝たないといけない。僕もそこでレギュラーを張ってきた自負もある」とプライドをにじませる。「大山君、いい子なんで来てほしいですね」と笑いを誘い、競争上等の構えを見せるあたりが看板選手の風格だ。
一方、一塁手で初めてベストナインに選ばれた岡本は、都内で「NPB AWARDS」に出席。「縁がないと思ってました」と受賞を喜んだが、大山が来れば再びポジションをたらい回しにされ、三塁や外野での出場機会が増えそうだ。
本人は「あんまりそう深くは考えず、来てくれるとなれば同じ右打者として高め合えたら」と加入を歓迎しつつ、シーズン中の試合前にもよく談笑するなど親交も深い、ライバル球団の主砲への敬意も忘れない。「阪神に残ったとしても、同じリーグの右打者として一緒にセ・リーグを盛り上げていきたい。どちらにせよ、やっぱりすごくいい打者。参考になるところも多いので、2人で高め合いたい」
悲願の日本一はもちろん、来オフのメジャー移籍を目指すうえでも、大山の巨人入りは岡本に大きなプラスとなりそうだ。
(片岡将)