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バフェットの次を行く投資術 バブルに浮かれた経営者と犠牲を強いられる従業員…リーダーや幹部は「最後の責任」を取ったか

zakzak by夕刊フジ 2024年9月6日 15時30分

2014年の韓国の旅客船「セウォル号」沈没事故の際に、乗客を置き去りにして船長や船員が避難したことは強い非難の的になった。この事故に限らず、リーダーや幹部が「最後の責任」を持つことが、「組織のモラル」を維持するために極めて重要である。

バブル崩壊以前、「日本型経営」がまだ日本できちんとして維持されていた頃は、船長(社長)が一つの船ともいえる会社の従業員の安心・安全に気を配るのは当然であった。だからこそ、社員たちは「自分の首がどうなるのか」などと、余分なことを心配せずに仕事に集中して高い成果を出すことができた。

ところが、バブル(崩壊)の本当の原因は(バブルに)浮かれた経営者たちであったのに、日本型経営に責任が押し付けられた。そして「終身雇用は時代遅れ」などという論調がはびこった。当然なことながら、これは間違いである。

「明日クビになるかもしれない」、あるいは「明日辞めるかもしれない」企業で、「(会社のために)仕事に全力投球」する人々がどれほどいるであろうか。日雇い労働者が「今日だけ自分を雇う」会社の数十年先の将来を考えたり、頑張ったりするだろうか。

もちろん、日本型経営においても経営危機の際などに人員削減を行わなかったわけではない。だが、その際には、その人員削減がひと段落すると、人事部長や社長などの責任者が辞任するのがごく普通であった。沈没しそうな船を救うために犠牲を払うのは致し方ないが、その犠牲の責任をリーダーがきちんと取ったのだ。

従業員が犠牲を強いられるのに、「企業経営の責任者」である社長・役員・幹部が、会社に「居座って」いて、本当に組織としてのモラルが保たれるとは思えない。リストラは、目先の業績を改善する場合もあるが、長期的にはダメージを与えるからバフェットも嫌っている。 (人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩) =敬称略

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