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舟木一夫 出会いと別れの80年 舟木一夫が本人の前で歌った松島アキラの「湖愁」が記者の目にとまり…歌手になるきっかけ いまでもコンサートの〝ヘソ〟に

zakzak by夕刊フジ 2024年8月29日 11時0分

舟木一夫は「この歌を口ずさむとき、17歳の想いがあふれる」と言う。それが、松島アキラの「湖愁」だ。舟木が公の場で初めて歌ったのは1962年2月、CBC(中部日本放送)の人気のど自慢番組「歌のチャンピオン」だった。

父親に歌手になることを反対され、テレビ出演を母親だけに知らせて、学校をズル休みして出演した。父親は出先で仕事中にテレビで歌う息子を発見。風邪で学校を休んでいた担任教諭も自宅で見ていて仰天。後日、舟木は呼び出された。

そして翌月、ガールフレンドに振られて、チケットがあるという友人に誘われ、名古屋のジャズ喫茶に松島アキラのショーを観に行った。

ショーの最後にあった松島と歌うコーナーに選ばれ、本人の前で「湖愁」を歌ったのだ。

これが松島を取材するために東京から来ていた「週刊明星」の記者の目にとまった。そこからは、ホリプロの堀威夫社長(当時)を通じて、日本コロムビア専属の作曲家であった遠藤実のレッスンを受けることになり、歌手になるためのオーディションに臨んだ。

舟木は、ここでも松島の「湖愁」などビクターの歌手の3曲を歌った。ピアノを弾いていた作曲家の山路進一は、舟木に「コロムビアのオーディションなのに…。君は面白いね」と言った。

舟木の17歳はまさに「湖愁」一色だった。

舟木は〝寒い時代〟をくぐり抜けた後は、自分の納得できる歌だけを新曲として出してきた。

松島に電話で伝えた上、「湖愁」を新しいアレンジで60周年記念曲としてリリースしたのは、2022年12月のことだった。

その新曲「湖愁」は、12月7日に発売されて以降、19日付のオリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで初登場2位、翌週も2位をキープし、発売3週目の2023年1月2日付で1位を奪取した。

「舟木一夫」の原点とも言える「湖愁」でオリコン1位を達成したのは舟木にとって初の快挙だった。舟木は今年のツアーコンサートでも「湖愁」を〝ヘソ〟に据えている。 =敬称略

(大倉明)

■舟木一夫(ふなき・かずお) 歌手。1944年12月12日生まれ、79歳。愛知県出身。63年6月、「高校三年生」でデビュー。橋幸夫、西郷輝彦とともに〝御三家〟と呼ばれ、人気を集めた。歌手だけでなく、ドラマや映画などで活躍してきた。ツアー「コンサート2024」を開催中で、10月22日に大阪・フェスティバルホール、同月23日に神戸国際会館・こくさいホール、11月6日に東京・渋谷の「LINE CUBE SHIBUYA」(渋谷公会堂)を予定している。

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