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バイデン政権3年半の失政と「核のボタン」を持つ恐怖 民主党議員に〝都合の良い存在〟 世界各国から「なめられた」地政学リスクが増大

zakzak by夕刊フジ 2024年7月8日 6時30分

大原浩氏寄稿

11月の米大統領選に向けて行われたテレビ討論会で、民主党のジョー・バイデン大統領は共和党のドナルド・トランプ前大統領に「惨敗」し、撤退要求も高まっている。国際投資アナリストの大原浩氏は、バイデン氏の大統領としての資質への懸念が、就任から3年半で現実のものとなったとし、「核のボタン」を握ることで世界を恐怖に陥れていると指摘する。

現地時間6月27日に行われた討論会で、バイデン氏の「認知機能問題」が全米中継され、国民の目に明らかになった。そして、これまでバイデン政権をヨイショしていた民主党議員や、民主党べったりだった偏向メディアが手のひらを返した。

バイデン政権をまつり上げてきたニューヨーク・タイムズ紙も「選挙戦からの撤退を促す内容の社説」を掲載した。

しかし、民主党の大統領候補の首をすげ替えたとしても「問題」の解決にはならないというのが筆者の考えだ。

そもそも、テレビ討論会の「惨劇」の原因となった、バイデン氏の「認知症問題」を含む「大統領としての資質」に対する疑問は、前回の2020年の大統領選挙戦当時から浮上していた。

事実、21年1月20日の大統領就任後間もなく、「米民主党の良識ある下院議員31人がバイデン大統領に書簡を送り、『核兵器の発射ボタン』を押す権限を手放すよう求める」動きがあったのだ。

だが、民主党で支配的な議員や支持勢力にとって、バイデン氏は都合が良い存在であった。だから、少なくとも3年半にわたって「不都合な真実」から国民の目をそらし続けてきたのである。

米国民だけではない。核兵器のスイッチをバイデン氏が持っているということは、われわれ日本人を含む世界市民にとっても重大な問題だ。つまり、多くの民主党議員は、世界を核戦争の恐怖にさらしながら、自己の保身に都合が良い「小物」のバイデン氏を支持し続けてきたわけだ。

バイデン政権の問題は「認知症」だけではない。1975年4月のサイゴン陥落にも例えられる2021年8月のアフガン撤退。22年2月のロシアによるウクライナ侵攻に対する稚拙な対応。ガザ侵攻におけるイスラエルの「やりすぎ」をコントロールできなかったこと、サウジアラビアとの関係悪化など失策の数々は、民主党の政策でもある。

そもそも、トランプ氏が続投していればウクライナ侵攻はなかったであろう。バイデン政権になってから地政学リスクが増大したのも、バイデン氏と民主党が、世界各国から「なめられている」からにほかならない。

先進7カ国(G7)に並ぶ勢力として急速に拡大しているBRICSにタイやマレーシアなどが加盟申請したこともバイデン政権が「なめられている」証拠だ。拡大BRICSには米国の宿敵イランが含まれている。トランプ政権下ではこうしたことはなかっただろう。

対照的にトランプ政権の4年間、新たな戦争は起こさなかった。前回の大統領選で米国民は、「大物」の代わりに「小物」を選択するという過ちを犯したといえるのではないだろうか。

トランプ氏が復活を目指して活動している米国と違って、日本では安倍晋三元首相が凶弾に倒れた後、「大物」政治家が見当たらない。しかし、それほど心配することはないと思う。

日本は危機に強いから(少なくとも)1400年続いてきたのだ。明治維新では、下級武士や農民から「大物」が次々と生まれてきた。また、戦後も吉田茂のような「大物」政治家に恵まれた。

今度もそうなるのではないかと期待している。

■大原浩(おおはら・ひろし) 人間経済科学研究所執行パートナーで国際投資アナリスト。仏クレディ・リヨネ銀行などで金融の現場に携わる。夕刊フジで「バフェットの次を行く投資術」(木曜掲載)を連載中。

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