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「ポスト岸田」に40代ホープ待望論 小泉進次郎氏、小林鷹之氏「対トランプ」が命運か 識者「外交手腕は未知数」とも

zakzak by夕刊フジ 2024年7月21日 10時0分

自民党総裁選を9月に控えて、新たなホープへの待望論が浮上している。岸田文雄内閣の支持率低迷が深刻なのは、政権運営への批判に加え、自民党の「古い体質」への不信感も強いとの見方があるためだ。次期総裁には「改革」「刷新」がアピールできる中堅・若手、女性を求める声もあるが、米国でドナルド・トランプ前大統領(78)の返り咲きが現実味を帯びるなど国際情勢は波乱含みだ。40代の総裁候補として、小泉進次郎元環境相(43)と小林鷹之前経済安保相(49)の名前が挙がるが、外交手腕を含めて国のかじ取りを任せられるのか。

「世論は『自民党の本気度』を見ている。総裁選の焦点は『古い体質との決別』だ。変わり映えしない総裁選なら、今度こそ見放される危機感がある。選挙に弱い中堅や若手はなおさらそうだ」「ただ、キングメーカーはあくまで、麻生太郎党副総裁と菅義偉前首相。不安や焦りは募れど、今は動くに動けない」

ある自民党議員はこうボヤいた。

15日公表のANNの世論調査では、次期総裁選で岸田首相が「出馬しない方がよい」と答えた人が約6割に達し、43%が次期衆院選後に「政権交代を期待する」と答えた。

各世論調査で、岸田内閣の支持率は「危険水域」「退陣水域」に低迷し、危機感を募らせた議員や地方組織からは「交代論」が噴出している。

ベテラン議員も「総裁選には、いわゆる『ポスト岸田』とされる有力候補だけでなく、若々しい候補者が名乗りを上げるようでなければ、自民党の先行きは暗い。次期衆院選も危ない」と本音を語る。

では、「新顔」の有力候補は誰か。名前が挙がるのが、前述の進次郎氏と小林氏だ。

進次郎氏 抜群の知名度、〝無派閥〟系の顔

進次郎氏は、父の純一郎元首相の後継として政界入りし、衆院当選5回を重ねた〝サラブレッド〟だ。過去の選挙戦では応援演説で全国を回り、知名度は高く、世論調査の「次期首相候補」では上位の常連だ。

岸田首相と距離を置き、事実上の「退陣要求」もブチ上げた菅前首相の政権下で環境相を務め、〝無派閥〟系の顔の一人でもある。

ジャーナリストの鈴木哲夫氏は「進次郎氏は知名度ばかりが注目されるが、東日本大震災の復興に尽力するなど、地道な活動も続けてきた」と評する。

小林鷹之氏 初代経済安保相として成果

一方、名前の「鷹」にちなんで「コバホーク」と呼ばれる小林氏も抜群のキャリアを誇る。東大法学部を卒業し、旧大蔵省(現財務省)を経て、自民党が下野した直後の2009年に衆院選出馬を決意した。私立開成高出身で、岸田首相の後輩にあたる。

政治評論家の有馬晴海氏は「自民党が苦しい時代を乗り越えてきた。初代経済安保相として優れた成果を上げ、党内外の評価は高い」と語る。

「ポスト岸田」には、外交手腕も求められる。

衝撃的な暗殺未遂事件を受けて、同盟国・米国では、トランプ氏がホワイトハウスに凱旋(がいせん)する可能性が高まっている。

トランプ氏は18日(日本時間19日)、ウィスコンシン州ミルウォーキーで開かれた共和党大会最終日で演説し、「(中国によって)台湾や朝鮮(半島)、フィリピン、アジア全域に紛争の恐怖が広がっている」といいながら、「いわゆる同盟国にも長年、つけ込まれてきた」とも強調し、「米国第一」の姿勢を誇示した。

トランプ氏の盟友、安倍晋三元首相はもういない。進次郎、小林両氏の国外経験だが、進次郎氏はコロンビア大大学院を修了し、戦略国際問題研究所で非常勤研究員を務めた。小林氏も官僚当時、ハーバード大ケネディ行政大学院を修了し、在米大使館員を経験した。

ただ、鈴木、有馬両氏は「2人の外交手腕は未知数」と口をそろえる。

鈴木氏は「トランプ氏が米大統領に返り咲けば、安全保障や経済面で協力や譲歩を求められるかもしれない。さらに、北朝鮮、中国、ロシアといった日本周辺を取り囲む国々と、どう対峙(たいじ)するのか。総裁候補で、外交面で決定的に抜きんでた候補はいないのではないか。両氏とも要職レベルなどでの外交実績は乏しい」と語る。

不安が募るが、やや違う見方もある。

有馬氏は「外交に際立って長けた人材は、自民党全体を見渡してもいない。小選挙区制のもと、内政や選挙に集中する議員が増え、いわゆる『外交族』のような専門的な族議員は絶滅状態だ。ただ、議員個人が培った人脈が生きることもある。トランプ氏が最初に大統領になったとき、安倍氏は周辺の人脈を生かして、世界各国の首脳の中でいち早く接触を果たし、信頼関係を築いた。日本の首相には、即戦力として外交ができる素地が求められる。両氏も多種多様な国外の人脈があるはずで、そうしたつながりを生かせるかもしれない」と語った。

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