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自民総裁〝避けるべき〟候補 暗殺未遂事件で優位「トランプ・シフト」優先課題 石破氏は能力に不安 高市氏は共和党人脈が

zakzak by夕刊フジ 2024年7月17日 11時51分

八幡和郎氏、島田洋一氏が分析

米共和党の全国大会が15日(日本時間16日)、ウィスコンシン州で開幕し、ドナルド・トランプ前大統領(78)を党候補に正式指名した。民主党のジョー・バイデン大統領(81)が高齢不安で失速するなか、暗殺未遂事件で闘争心を見せたトランプ氏が大統領選でも優位との見方が強まっている。トランプ氏は副大統領候補のJ・D・バンス上院議員(39)とともに「米国第一」を掲げており、当選した場合、日本への影響も避けられない。自民党の総裁選も「トランプ・シフト」が優先課題となるが、トランプ氏と渡り合ううえで最適なのは、そして避けるべきなのは誰なのか。

共和党が15日採択した綱領は、「米国の労働者と農民を不公正貿易から守る」と掲げ、全ての輸入品に10%の「普遍的基本関税」を課すとするトランプ氏の提唱を支持した。バイデン大統領が気候変動対策として進めてきた電気自動車(EV)の普及促進を見直す。綱領は11月の大統領選の公約となる。

前回のトランプ政権では、トランプ氏が当選を決めた直後に安倍晋三首相(当時)が渡米し、関係性を築いた。蜜月関係は4年間続き、日本に対する要求は限定的だった。

安倍元首相不在のいま、誰がその役割を果たせるのか。

評論家の八幡和郎氏は、まず、トランプ氏が大統領に返り咲いた場合、個人的に関係を構築するためのポイントとして①語学力②社交性③交渉能力―の3点を強調する。

産経新聞社とFNNの6月の世論調査では「次の首相に誰が一番ふさわしいか」の問いにトップの16・4%の支持を集めたのが石破茂元幹事長(67)だ。

八幡氏は石破氏について「トランプ氏と個人的な関係をつくるうえで、英語力は最低限の条件だが、どこまで英語の練習を努力しているのか疑問だ。語学力がなくても、森喜朗元首相や二階俊博元幹事長のようにコミュニケーション能力にたけている人物もいるが、石破氏はその点でも不安がある」と指摘する。

拉致被害者救出に取り組む「救う会」副会長を務める福井県立大学の島田洋一名誉教授は「石破氏は過去に『拉致議連』会長を務めたが、存在感がなく、考え方も安倍氏と対照的だった。安倍氏の信頼を得られなかった石破氏をトランプ氏側が信用するのか」と疑問を呈する。

2番人気(14・6%)の小泉進次郎元環境相(43)について、前出の八幡氏は「日本語でも英語でも演説などをうまく行える能力はある。話の中身にはやや疑問符も付くが、社交性があるのでトランプ氏とはうまく付き合えるかもしれない」とみる。

島田氏 安倍氏の遺志継ぐ高市氏が適任だが、共和党人脈が…

3番人気(8・4%)の河野太郎デジタル相(61)に関して、八幡氏は「語学が堪能でもリスクがある。トランプ氏とは環境問題や脱炭素で考え方が真逆だ。対中姿勢も違うのでケンカになる懸念がある」という。

4位(6・3%)の高市早苗経済安保相(63)について、前出の八幡氏は「語学力は問題ないし押しも強い。考え方もトランプ氏と似ているところもあるので気が合うかもしれない」と話す。

米共和党にパイプを持つ島田氏は「トランプ氏と関係の深かった安倍氏の遺志を受け継ぐのは高市氏が最もふさわしいのではないか。セキュリティー・クリアランス関連法案をしっかり成立させた点も評価されるだろう。ただ、高市氏は共和党の保守派に人脈が少なく、党内にはまだ高市氏を知らない人も多い。共和党保守派との面会や米国の保守系シンクタンクでの講演など積極的に活動することが望ましい」と語った。

上川陽子外相(71)については「英語は堪能で用意された原稿を読むのはうまくても、対トランプ氏では言いなりになってしまうだろう」というのが八幡氏の見方だ。

茂木敏充幹事長(68)は安倍政権当時の2019年、経済再生担当相として、トランプ政権のロバート・ライトハイザー通商代表と日米貿易協議に臨んだ。

八幡氏は「『ハードネゴシエイター』の異名もあり、国際交渉能力がある。日本人と折り合いが悪いという懸念点はあるが、トランプ氏のような人物の相手も務められるのではないか」と評する。

ただ、島田氏は「上川氏と茂木氏は民主党色が強いハーバード大学ケネディ行政大学院出身で、共和党側がどうみるかが懸念される」とも指摘した。

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