忙しい師走も終盤に入りました。私の店で恒例イベントとなっている「OB祭り」ですが、先週は阪神タイガースの2度の優勝に貢献しMVP、沢村賞にも輝いた井川慶君が今年最後のゲストとして来店。大いに盛り上げてもらいました。
普段ゲストは質問される側なんですが、今回の井川君はお客さんの中に鉄道の運転手がおられると知るや否や、逆に野球の話はそっちのけで質問攻め…。もともとがゲーム好きでオタク気質も備える男だけに無理もなかったのですが、お客さんにもメチャクチャ喜んでもらえたので、店主としては大助かりでした。来年も「OB祭り」は継続し、元4番で打撃コーチも歴任した「ハマちゃん」こと浜中治君らも呼ぶ予定でいます!
さて阪神では23日、プロ4年目を自己最少の16本塁打で終えた佐藤輝明内野手(25)が契約更改。現状維持の年俸1億5000万円(推定)でサインしました。今季は約3週間にも及ぶ2軍落ちで試合出場数もワーストの120試合…。打率・268、得点圏打率・322こそキャリアハイですが、失策は両リーグワーストの23失策と大いにやらかしてしまいました。
佐藤輝の潜在能力は今さら言うまでもないですが、今回の交渉の席ではV奪回を宣言するだけでなく、球団に対して1992年に撤廃された甲子園球場の「ラッキーゾーン」の復活をお願いし、さらには近い将来のポスティング制度によるメジャー挑戦の意向も初めて伝えました。球団側は当然、2つとも〝即却下〟でしたが、メジャー志向は入団当初から胸に秘めてきて、「自分の中で明確にそういう目標を立てたいなという思いが固まった」とのこと。一体、この事態をどう見るか。
普通なら「もっと成績を残してから言え」となるのでしょうが、私は佐藤輝なりの〝決意表明〟だと捉えています。ポスティング制度が球界にある以上、口に出して希望するのはおかしな話ではないし、希望した以上は「必ず結果を出して行く!」との強い自覚が出てきたのではないか、と。今はともかく今後成績を積んでいけば、球団も分かってくれるだろうし、その目標に向けて来年、目の色を変えて頑張ればいいのです。
ちなみに「ラッキーゾーン」復活の方は、投手の立場もあるから実現は絶対無理でしょう(笑)。同世代の巨人・岡本君やヤクルト・村上君は狭い球場で本塁打を量産しているわけで、佐藤輝の主張も十分よく分かりますが、モノは考えようです。とっとと日本一を奪回し、打っては広い甲子園を本拠地に30、40発、タイトルも総ナメにでもすれば案外、球団も早くお願いを聞いてくれる…かも。いや、逆に出さないか(笑)。 (元阪神投手、スポーツバー店主・川尻哲郎)