ソフトバンクは18日、米大リーグ・レッドソックス傘下3AからFAとなった上沢直之投手(30)の獲得を発表した。昨オフに日本ハムにポスティング移籍を認められてメジャー挑戦も、1年で撤退を決めた右腕が義理を通して古巣と再契約しなかったことには驚きも広がっているが、多くの球団は交渉の代理人を知った途端に移籍先を確信したという。
夢を応援するため送り出してくれた日本ハムに対し、通算70勝の生え抜き右腕がレイズとのマイナー契約でもたらした譲渡金はわずか90万円余とされる。レッドソックス移籍後にメジャーで2試合に登板も、今季限りで夢を諦めて日本球界復帰を決めると、帰国後に古巣の球団施設などでトレーニングを続けながら、同じパ・リーグのライバル球団と4年総額10億円(推定)で契約した。
ある球団の編成担当者は「今回の交渉に出てくる代理人が判明した段階で、『これはソフトバンクで決まりだな』という感じでうちを含め次々と手を引いた」と明かす。この代理人は、2022年オフに同じ日本ハムからFAとなり、争奪戦の末にソフトバンク入りした近藤健介外野手(31)も担当したという。「何回も交渉して値段をつり上げる手法にうんざりしている球団は多い。彼が出てきた時点で〝お断り〟という球団もあるほどだ。カネにものを言わせるソフトバンクがお得意様というか、あそこしか引き受けられるところがないというのが実情」と不満タラタラだ。
負け惜しみのように聞こえなくもないが、交渉役を決めた段階で上沢の頭に日本ハム復帰はなかったのかもしれない。 (山戸英州)