Infoseek 楽天

肉道場!入門 原材料表記に信念感じる福島屋の「生ウインナー」 おつまみにも朝食にも最上 最小限の素材で引き出す濃厚な味わい

zakzak by夕刊フジ 2024年9月3日 6時30分

★絶品必食編

精肉や肉加工品の選び方はいつだって難しい。だが、ハム・ソーセージなどの肉加工品については、目安がひとつある。

原材料だ。原材料がシンプルなほど味への信頼度は増す。

添加物が悪いと言っているわけではない。よく「発色剤」として表記される亜硝酸ナトリウムは、ソーセージのふるさとである欧州では、食中毒菌の増殖を抑える効果があるからこそ、添加されてきた。見栄えではなく、そもそも安全のために加えられてきた歴史がある。

その他の素材もメーカーや商品ごとに考え方があるが、基本的にソーセージは豚肉と塩と香辛料とケーシング(腸)があれば作ることができる。

新鮮な豚肉を低温に保ちながら、一定量の塩分とともに撹拌(かくはん)すれば自然と肉は結着し、油分と水分がなじんで、プリッとしたソーセージ独特の触感を生むことができる。

そうしたハム・ソーセージはスーパーの棚ではまだ一般的な存在ではない。加熱前の〝生〟ソーセージとなればなおさらだ。それこそ一部の専門店の製造・販売にとどまっている。

もっともあるところにはあるもので、東京都羽村市に本店があり、都心の六本木アークヒルズや虎ノ門ヒルズなどに店舗展開する「福島屋」には、自社で製造する「生ウィンナー」が精肉売り場に並んでいることがある。

そしてその原材料表示に店の姿勢が表現されているのだ。「館ヶ森高原豚肉、天然岩塩、香辛料、オーガニックシュガー」。以上。なんとも潔く、信念が感じられる表記である。

岩手県一関市の館ヶ森高原豚は、福島屋が長く付き合ってきた肉好き垂涎の豚肉だ。ソーセージに必要不可欠な塩は天然岩塩を使い、その他は香辛料、それに味と食感の調整に砂糖を少量加える程度。

最小限の素材のみを使うからこそ出せる濃厚な味わい。塩味がきっちり入っているのもまっとうなソーセージの証しだ。

食べ方のおすすめは、断然焼きだ。弱火にかけたフライパンにソーセージを並べ、動かさずに片面ずつじっくり火を入れる。一文字にしっかりと焼き目がついたら裏返して裏面にもきっちり焼きを入れる。

夜のビールのつまみにも、朝のパンのおともにも最上だ。

■松浦達也(まつうら・たつや) 編集者/ライター。レシピから外食まで肉事情に詳しい。新著「教養としての『焼肉』大全」(扶桑社刊)発売中。「東京最高のレストラン」(ぴあ刊)審査員。

この記事の関連ニュース