大相撲初場所 9日目=20日、東京・両国国技館
再入幕で西前頭14枚目の金峰山(27)=木瀬=が無傷の9連勝で単独トップを守り、〝珍V〟を遂げそうな勢いだ。
7勝1敗とこちらも好調な西前頭11枚目の尊富士(25)=伊勢ケ浜=と激しい攻防。土俵際に追い込まれたが、捨て身の小手投げを繰り出し逆転した。「(途中で)終わったと思った。まわしを取れなかったが、焦らないでよかった。体が動いている」
中央アジアのカザフスタン出身で、日大から三段目付出しでデビュー。同窓で1学年下の尊富士との初顔合わせは「嫌です。後輩だし」とやりづらさを口にしながら、先輩の意地を見せた。2学年下の大関大の里が日体大在籍中も圧倒していたという実力者が、初土俵から20場所でようやく本領を発揮し始めた。
先場所は十両で優勝しており、今場所の幕内と2場所連続となれば1914年の両国、昨年の尊富士以来の快挙。あわせて再入幕Vは2020年初場所の徳勝龍、同名古屋場所の照ノ富士だけで、二重の珍事となる。
高田川審判部長(元関脇安芸乃島)は「いい相撲取ってますよね。まだ中盤ですから、何が起こるかわかりません。全部勝てば15番ですけど、負けたら9番で終わりですから」と冷静に分析。9日目の時点で1敗、2敗の力士は平幕だけという異例の場所で、巡ってきた大チャンスを生かせるか。 (塚沢健太郎)