韓国の政治激動の中で、勝者となったのは〝悪魔の政治家〟とも呼ぶべき、最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表だ。「人は、私のことを『韓国のトランプ』と呼ぶ」などと、もうすっかり大統領気取りになっている。
しかし、最新のある世論調査では「戒厳―弾劾可決でも、李在明はちょっとな…」と反応する層が半数に達した。
だから、彼はこの先、「親米派」の仮面を被り、中道層の抱き込みを狙うだろう。中道層は、そんなにたやすく仮面にだまされるのか―21世紀になってからの韓国政治を振り返れば、答えは簡単だろう。
李在明氏は前科4犯であり、いまも大疑獄事件を含む5つの罪で裁判が進行中だ。疑獄事件はしばしば、周辺から自殺者が出る。同氏の周辺からはすでに5人の自殺・変死者が出ている。
うち1人は、城南(ソンナム)市長当時の部下だ。それなのに彼は「知らない人だ」と言った。遺族が一緒に行った海外旅行でのツーショット写真を公開すると、「私は人の顔を覚えるのが苦手で…」と弁明した。〝悪魔の政治家〟と言わずして何だ。
かつての学位論文が盗作であると指摘されると、「その学位は必要ないので、返上を申し入れている」と言って、政治混乱の中でうやむやにして逃げた。
彼はかつて、韓国の保守政権について、「親日勢力が米占領軍と合作した支配体制をそのまま維持した。親日残滓(ざんし)が完全に清算されず、依然として残っている」との認識を語った。財閥は「清算すべき親日残滓」の代表ということだ。
日米韓の合同軍事訓練に対しては、「日本の軍事大国化を支えかねない。政府は再び合同軍事訓練をしないと約束しろ」と中止を要求した。
「反日」を根底にした「反米」であり、北朝鮮を「脅威」とは見ていないのだ。
ところが、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾訴追が国会で可決されるや、在韓米商工会議所会頭に「米国をはじめとする自由陣営の大きな支援のため今日の韓国がある」「韓国人が最も愛する国が米国」「韓国と米国は血盟を越え、経済的、総体的な同盟関係に発展を」などと、真逆の発言をした。どうにも信じられない政治家だ。
韓国の裁判官は世論に阿(おもね)る。係争中の裁判の判決が次期大統領選挙の前に出て、彼が被選挙権を失うことがあるのだろうか。
お先真っ暗。ヘッジファンドがどう動くか―大きな見どころだ。 (室谷克実)