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バフェットの次を行く投資術 雇用の安定が企業を成長させる バフェットも「人材」の有効活用を重視 リストラ繰り返す企業など投資に値しない

zakzak by夕刊フジ 2024年7月5日 11時0分

これまで「ガラパゴス」と揶揄(やゆ)されてきた「日本の独自文化」の中で重要なものの一つに、「終身雇用」がある。

欧米追従型のメディアや評論家は、転職を薦めジョブ型雇用の普及を計ろうとしている。だが、これは長期的に企業を疲弊させる。

確かに米国では平均すれば生涯11回以上転職するとされる。だが、バフェットが率いるバークシャー・ハサウェイは、終身雇用であり、定年が存在しない(最高齢まで働いた経営者に敬意を表して、一応104歳ということになっている)。

考えてみれば当たり前のことである。自社で教育・研修費用をかけて育てた人材を失うということは、会社にとっての大きな損失だ。バフェットは、「会社の資産」を有効に活用することを重視するのである。

そもそも、リストラをしなければならないほど業績が悪化するのは経営者の責任であり、多くの場合、従業員に責任はない。そのような事態を招いた「無能な経営者」が居座り多額の給料をもらい、従業員の首が切られる状況でモラルを維持するのは困難である。

また、米国系企業が従業員に解雇を告げた後は、カードキーなどを即座に無効にし、社内に立ち入らせないのが普通である。デスクに残っている私物などは、後日宅配便で届けられる。なぜかといえば、解雇された者が企業秘密を持ち出して転職する可能性があるからだ。自分をクビにする会社に、忠誠心などないのが普通である。

また、「自分をクビにするかもしれない会社」に対しても同様だ。最近、中韓を始めとする海外企業への技術流出が懸念されるが当然である。

また、M&A(企業の合併・買収)においても、バフェットは被買収先の経営陣を始めとする幹部が残ることを条件にする。「人材」が企業の価値の本質であり、リストラを繰り返す企業など投資に値しないということだ。 (人間経済科学研究所、国際投資アナリスト・大原浩)

=敬称略

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