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日本の解き方 石破首相で景気はどうなる 日銀・財務省、マスコミの俗論にどっぷり…アベノミクスと真逆の政策 市場の信頼を勝ち取れるか

zakzak by夕刊フジ 2024年10月3日 11時0分

石破茂政権では金融政策や財政政策に関して、安倍晋三元首相以降の政権と、どのような変化が出てくるのか、そして、景気はどうなるだろうか。

結論からいうと石破政権は、反アベノミクスだ。金融政策も財政政策もまったく真逆だ。

アベノミクスは金融政策では、インフレ目標をベースとして、従来の名目ゼロ金利制約を超えるために量的緩和を実施した。また、マイナス金利政策も行った。財政政策では、従来のグロス(総)債務で「財政状況が悪い」と思い込むのではなく、日銀などを含む統合政府のバランスシート(貸借対照表)のネット(純)債務で「財政状況は良い」と判断して積極財政を行った。

アベノミクスの金融政策は、ベン・バーナンキ元米連邦準備制度理事会(FRB)議長や、ポール・クルーグマン教授らノーベル経済学賞学者からも評価されるくらい合理的な話だし、財政政策もファイナンス論からみて妥当な考え方で、国際通貨基金(IMF)も追随しているくらいの国際標準の考え方だ。

ところが、なぜか日銀も財務省も理解できないらしい。そのため、日銀や財務省を取り巻く学者からも異端視され、彼らの振りまく間違った情報をマスコミが拡散して、一般の人もアベノミクスが特別なものだと誤解している。そうした俗論に、石破首相もどっぷりとつかっているようにみえる。

景気がどうなるかを占うものとして、興味深い市場の動きがあった。9月27日の自民党総裁選開票日において、午後2時10分頃に第1回投票の結果が出て、第1位が高市早苗氏で181票、第2位が石破氏で154票と分かると、株価はこれをある程度織り込んでいて上昇傾向だったがさらに加速した。午後3時で閉まった東京市場の日経平均株価は終値で前日比903円高の3万9829円だった。

第2回投票の結果が午後3時20分頃、石破氏215票、高市氏194票と出ると、海外での日経平均先物は急落し、2000円以上下がった。

為替の動きも、株価と似ていて、第1回投票の結果までは円安に振れていたが、第2回投票の結果以降は、円高になった。

この市場の動きは、一部はパニックかもしれないが、あまりに正直だ。ご祝儀もまったくなく、石破政権にとってはいきなりの洗礼だ。

2012年の安倍政権誕生時は株高円安であったが、今回はそれと真逆の株安円高である。

株価は、将来の経済を映す鏡ともいわれている。実際、半年後の国内総生産(GDP)の動きをある程度反映することが多い「先行指標」とみられている。

少なくとも、今の段階では石破政権で景気がどうなるかといわれると、株式市場が暗示するように、先行きが明るいとは言いがたい。石破氏は金利正常化を封印して、金融緩和を継続すると言ったが、これでどこまで市場の信頼を勝ち取れるのか疑問である。

組閣では、外相に岩屋毅氏、防衛相に中谷元氏を起用したが、経済だけでなく外交・安保も先行きは怪しい。 (元内閣参事官・嘉悦大教授、高橋洋一)

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