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NHK「放送テロ」〝予兆〟把握も暴挙防げず 中国当局の反応に不安や懸念表明していた外部スタッフ 緊急ボタンも「思い浮かばず」

zakzak by夕刊フジ 2024年9月11日 11時49分

国際放送担当理事は引責辞任

NHKのラジオ国際放送などでの中国語ニュースで中国籍の男性外部スタッフ(48)が沖縄県・尖閣諸島を「中国の領土」と発言するなど、原稿にない内容を一方的に伝えた「放送テロ」問題で、稲葉延雄会長らが10日、謝罪した。公表された調査結果では放送直前に〝予兆〟がありながら、暴挙を防げなかった実態が明らかになった。担当理事が引責辞任したが、NHKには視聴者から厳しい意見が寄せられており、今後も尾を引く可能性がある。

「『放送の乗っ取り』ともいえる深刻な事態。改めておわび申し上げる」

「危機意識が高まってしかるべきだったが、ラジオ国際放送の現場では緊張感が欠けていた」

稲葉会長は10日の記者会見でこう述べた。

会長発言にある「緊張感の欠如」は、同日に公表された調査結果にも表れていた。

外部スタッフは以前から、中国当局の反応への不安や懸念などをNHK職員に伝えることがあった。問題の放送が行われた8月19日午前11時半前にも、原稿に反発して「あいまいなものをそのまま翻訳して中国語で放送したら、個人に危険が及ぶ」と声を荒らげる一幕があった。

緊急ボタン「思い浮かばず」

この事態に担当部長が「読み手を替えるか」とデスクに尋ねたところ、放送時間が迫るなか難しいと考えたデスクは「大丈夫だと答えた」という。デスクと外部ディレクターは午後1時1分からの生放送での異変を認識。2人がいたスタジオの副調整室には緊急時にマイクをオフにして音楽を流す緊急ボタンがあったが、「緊急ボタンのことは思い浮かばなかった」(外部ディレクター)というお粗末ぶりだった。

NHKには、放送当日から今月8日までに視聴者から4280件の声が寄せられた。不評な意見が中心で、「『尖閣諸島は日本の領土だ』としっかり放送で言ってほしい」などの意見があった。

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