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バズる関西トレンド 新たな“大阪土産”として注目「おかんパン」 創業78年の老舗ベーカリーがブランド再編、新規客開拓を狙った自信作

zakzak by夕刊フジ 2024年9月6日 15時30分

大阪・関西万博を7カ月後に控えた大阪では、地元をアピールする商品の開発が活発だ。新たな大阪土産として注目なのが、創業78年の老舗ベーカリー、ダイヤ(大阪市生野区)が7月に発売した「おかんパン」。おかんとは、関西弁でお母さんのこと。口うるさくておせっかい焼きだが、愛すべき存在の大阪のおかんをキャラクターに採用した。きつめのパーマヘアと独特のファッション、安心感のあるルックスが特徴だ。

同社はベーカリーの「クックハウス」とデパ地下のサンドイッチ専門店「ダイヤ製パン」を運営。大阪と奈良に19店舗を展開する「クックハウス」では、毎日100種類以上のパンやサンドイッチを販売している。なかでもダントツ人気なのが、1日3000個以上売れるという「ミルクパン」。カスタードクリームが4層に折り込まれた手のひらサイズの菓子パンでふわふわした食感が人気だ。しっとりとした口当たりになるよう生地を手切りにするなどパン職人たちのこだわりが詰まっているという。

37年前に登場したロングセラー商品「ミルクパン」を進化させ、オリジナルキャラクターの焼き印を付けたのが「おかんパン」だ。ミルク味と新たにチョコ味も加えて6個セットで1箱972円(税込)。土産用として販売するため、2週間持つよう個包装にした。パッケージに描かれたおかんのよこには、くすっと笑えるおかん語録も。

「いや、恥ずかしっ! そんな褒めても何も出えへんで」「ミルクパン1個な はい、600万円」など12種類。大阪のおかんをよく知る従業員の声を商品づくりに反映させた。

1日100箱限定で発売したところ、連日昼前に売り切れる店舗が続出。夏休み期間中は増産して対応した。「夏はパンの売り上げが落ち込むシーズンだが、今年はおかんパンが貢献している」と同社の多田俊介社長。今後は旅行客が多い駅や空港でも販売し、大阪らしさとパンのおいしさの両方をアピールしていく。

同社は1946年、和菓子職人だった多田定男が大阪・鶴橋で創業。63年に梅田の地下街に出店したのを機に事業を拡大していった。おかんパンの開発は、コロナ禍で売り上げが4割減まで落ち込んだのがきっかけだ。従業員の状況を把握するため、満足度調査を実施したところ「大阪に根付いたパン屋であることに誇りを持つ従業員が多いことがわかった」(多田社長)。ところが、クックハウス=大阪のベーカリーというイメージはあまり浸透していない。そこでブランド再編に着手し、新規客開拓を狙った自信作として誕生したのがおかんパンだ。

最近では、おかんネタで知られるお笑いコンビ、ミルクボーイがSNSで紹介。着実にその名は広まりつつある。「いずれは関西全域で親しまれるベーカリーになりたい」と、多田社長はさらなる高みをめざしている。 (フリーライター・橋長初代)

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