昨年大会はプレーオフで敗れて悔し涙を流した桑木志帆が、今大会では堀琴音に逆転勝ちしてリベンジを果たし、うれし涙をこぼした。ショットの安定性とロングパットでも強気に決め切る積極性が勝因となっていた。
ドライバーショットが右に飛び出したり、スライスしてフェアウエーをはずしてしまう。アマチュアにも多く見られるミスだが、桑木も試合中にそんなミスをすることがある。そんなとき、多くのアマチュアは、アドレスで左を向いて構えミスを防ごうとしがちだが、桑木は、それとは逆のことをする。
やや右向きにアドレスしておいて左に振っていくのが桑木流だ。これだとスイング軸がキープされやすく、上半身がボールに向かって突っ込むことがなくターゲットに向かって強い弾道のショットを打ち出しやすくなる。いわゆるつかまった球になる。これは、ラウンド中のミス修正方法でもある。右に飛び出すからといって、左を向いてアドレスすると、曲がりが大きくなりすぎたり、こすったようなインパクトになって飛ばなかったり…といった別のミスを招きやすくなる。
桑木流なら、しっかりと軸をキープして振り切れるので、飛距離アップも望める。
ところで、ダウンスイングから左に振っていこうとするとき、多くのアマチュアが間違いやすいポイントがある。それは、胸郭や肩を早く左に向けようとするところだ。これだとスイング面が左向きになり、カット打ちの原因になる。アドレスでやや右を向いた状態にしておいたスイング面をキープした状態で、腕、クラブを左に振っていく。これは大切な動きで、感覚としては、腕の振りが主導になる。
もうひとつのポイントとして気をつけなければならないのは、ダウンスイングで、下半身を左にスライドさせないこと。これをやってしまうと、プッシュアウトになる。振り遅れを回避しようとしてリストターンが強くなりすぎてダグフックにもなりやすい。心当たりのあるゴルファーは、腰をスライドさせずに、その場でターンさせるようにしよう。
■桑木志帆(くわき・しほ) 2003年1月29日生まれ、21歳。岡山市出身。岡山理大付高~倉敷芸術科学大在学中。4歳でゴルフを始める。コロナ禍で延期された20年度のプロテストに合格し、21年6月にプロ転向。同年の「JLPGA新人戦加賀電子カップ」で優勝。昨季メルセデスランキング10位。164センチ。