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70年目の「七人の侍」リスペクト三昧 けれん味たっぷり!B級映画の帝王が製作総指揮 貪欲さとリスペクト「七人の侍」の孫引きのような映画「宇宙の7人」(1980年)

zakzak by夕刊フジ 2024年9月25日 11時0分

先週に引き続き黒澤明の名作「七人の侍」(1956年)をリスペクトした映画を紹介する。

「宇宙の7人」(80年、ジミー・T・ムラカミ監督)はタイトルから、そのものズバリだが、いわばこれは孫引きのような映画。「本家」にインスパイアされて60年にジョン・スタージェス監督が「荒野の七人」を作った。今ではこれも名作と評価されている。

「荒野」をリスペクトし、SFに置き換えたのが本作というわけ。西部から一転して宇宙に舞台を移したこのスペースオペラ、内容もそっくりのリメークではある。

舞台は、惑星「Akir(アキール)」。すなわち黒澤明の「明」からとっている。

製作総指揮はB級映画の帝王との異名を持つロジャー・コーマン。彼は過去のインタビューで、黒澤明の思い出を語り、本作についても「惑星の名前をアキラにした」と明かしている。立派なリスペクト精神だ。

面白いのは、後に「ターミネーター」シリーズで名を成すジェームズ・キャメロンが特撮スタッフのひとりとして参加していること。

さらには「荒野の七人」で元賞金稼ぎのリー役を演じたロバート・ボーンがここでも宇宙のお尋ね者ガンマン、ゲルトとして出演。ボーンは「ナポレオン・ソロ」で日本でもおなじみだ。

物語はけれん味たっぷり。冒頭で孫引きと述べたが、「荒野―」を飛び越えて「本家」に直結しているようだ。ロジャー・コーマンの貪欲さとリスペクトぶりが分かる。

B級映画専門の彼が作ったからチープだろうという先入観は捨てたほうがよさそうだ。低予算だがSFXのクオリティーは高い。手作り感があって単なるキワモノではない。公開翌年、ファンタジーやホラーが対象の第8回サターン賞で、SF映画賞、特殊効果賞など5部門を受賞している。

一方で、ロジャー・コーマンらしく宇宙船のデザインが女性のボディーラインを思わせるといった遊び心も。

本作は83年、「日曜洋画劇場」(テレビ朝日系)で「宇宙の7人 スペース大戦争!巨大暗黒デビル戦艦に挑む銀河の戦士たち」として放映されたことを付け加えておこう。 (望月苑巳)

■宇宙の7人 日本公開は1981年4月4日。出演はリチャード・トーマス、ジョン・サクソン、ロバート・ヴォーン、ジョージ・ペパード、シビル・ダニングら。

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