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ニュース裏表 有元隆志 萩生田氏が配信番組で見せた覚悟 岩盤保守層を蔑ろにする「選択的夫婦別姓」導入、石破首相が野党に「同調」なら阻止へ動く考え示す

zakzak by夕刊フジ 2025年1月17日 6時30分

NHKは政治家が他のテレビ局で発言しても民放テレビとしか言及しなかったが、最近は方針を変えたのか、自民党の萩生田光一元政調会長が10日夜、櫻井よしこ氏が主宰する動画配信サイトの番組「櫻LIVE」に出演したと報じた。

正確には、「言論テレビ」の番組「櫻LIVE 君の一歩が朝(あした)を変える!」だが、私も一緒に番組に出演して、萩生田氏の「変化」を感じた。

まず、萩生田氏は旧安倍派の会計処理をめぐって「政治不信を招いてしまった」と反省した。そのうえで、昨年10月の衆院選での演説や、その後の衆院政治倫理審査会への出席を通じて説明を果たしてきたとして、「この問題は去年をもって一区切りにして、今年は乙巳(きのとみ)の年なので脱皮をして、新しいことに挑戦する再生と復活の年にしたい」との抱負を語ったのだった。

萩生田氏は、岩屋毅外相が中国人の観光客向けビザの発給要件などを緩和する方針を示したことについて、「ビザの拡大は大きな問題だ。党の外交部会などにまったくかけず、約束をしてしまったのは問題で、政府のやり方は少し乱暴だ」と批判した。NHKもその部分を中心に報じた。

番組に同席した産経新聞の同僚だった石橋文登・千葉工大特別教授も「自民党支持者を相手に話すことが多いが、外交も内政も全部、安倍(晋三)さんがやっていたことをひっくり返そうとしているとの声が大半です」と述べたように、石破茂政権は自民党を強く支持してきた岩盤保守層の神経を逆なでしている。

石破首相らは「少数与党なので、連立を組む公明党や野党の意見を聞かなければ政権運営ができない」というのかもしれない。だが、肝心の自民党支持層の声を蔑(ないがし)ろにしていいのかということになる。

その象徴が、通常国会の焦点となる選択的夫婦別姓の導入だ。

萩生田氏は番組で、「旧姓使用の拡大で対応すべきだ」と強調した。石破政権が野党に同調して、法案を賛成しようとした場合については、「どうやってやるのかをここで言うと、手の内を全部知らしめることになります。ただ、しっかり志を同じくする仲間と行動したいと思います」と述べ、反対する考えを示した。

石破首相は党総裁になる前は、選択的夫婦別姓について「導入賛成」の考えを示し、「夫婦が別姓になると家族が崩壊するとか、よく分からない理屈があるが、やらない理由がよく分からない」と述べていた。首相になると、10月の衆院本会議での答弁で、「国民各層の意見や国会における議論の動向などを踏まえ、さらなる検討をする必要がある」と述べるなど、慎重に転じた。

もっとも、立憲民主党の野田佳彦代表は「自民党の中にも『本当は賛成』という人が結構います。党議拘束を外したら一挙に委員会可決する可能性が出てくるでしょう」(昨年11月の講演)と攻勢をかける構えを示している。

石破首相が立憲民主党や公明党に同調し、可決の方向に自民党の議論を集約しようとしたとき、萩生田氏は阻止に動く。その覚悟を感じた。 (産経新聞特別記者・有元隆志)

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