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台湾を包囲 中国軍機、過去最大125機が演習参加 太平洋でもロシア海軍と合同演習 海上、空域封鎖なら日本にも圧力が

zakzak by夕刊フジ 2024年10月15日 11時42分

中国軍が14日、台湾を包囲する海空域で大規模な軍事演習を実施し、台湾周辺では1日の数として過去最多となる延べ125機の中国軍機が確認された。台湾の頼清徳総統が10日の演説で、「一つの中国」原則を認めない立場を強調したことへの対抗措置とみられる。14日には太平洋北西部でも、ロシア海軍の太平洋艦隊が中国海軍との合同演習を行ったことを発表している。「台湾有事」が懸念されるなか、台湾だけでなく、日本への圧力も強めている。

中国軍は今回の演習名は「連合利剣―2024B」とし、空母「遼寧」の艦隊や駆逐艦、護衛艦のほか、各種戦闘機を派遣、中国海警局は台湾の周囲を巡回した。陸海空軍に加え、核ミサイル部隊を管轄するロケット軍も参加した。

国営中央テレビは空母から飛び立つ軍用機や艦内で活動する兵士らの映像を放送した。台湾北側と南側で同時に主要港を封鎖して海や陸上の目標を攻撃するといった想定で訓練したもので、中国軍で台湾方面を管轄する東部戦区は「演習を成功裏にやり遂げた」と表明した。

台湾国防部(国防省)は、中国の軍用機125機と軍艦17隻、海警局船17隻を確認したと明らかにしたうえで、中国軍の動きに対し、「非理性的な挑発行為」と演習を非難した。米国務省も「深刻な懸念」を表明したが、中国の東部戦区は「国家主権と国家統一のため正当で必要な行動だ」と声明で主張し、中国外務省も「台湾は中国の一部だ。内政干渉は認めない」と反発した。石破茂首相は状況を注視する考えを示した。

台湾の頼総統は10日の式典で「中華人民共和国には台湾を代表する権利はない」と演説し、中国は「中華人民共和国は全中国を代表する唯一の合法政府だ。台湾に主権は存在しない」と強く反論していた。中国は頼氏が総統に就任した5月にも台湾を取り囲む軍事演習を行った。

軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「中国は台湾の全域を包囲する演習を強行し、台湾側へ圧力をかける狙いがあったのだろう」と分析する。

そのうえで世良氏は、台湾有事の際は「中国側は台湾に上陸するよりも、周囲の海上や空域を封鎖して長期的に包囲する戦略も考えているのだろう。その際は日本の南西諸島なども当然封鎖の対象となり、わが国も深刻な影響を受ける」と話す。

14日には中露が太平洋で、対潜水艦や対空防衛のミサイル発射の合同訓練を行ったとタス通信などが報じた。世良氏は「台湾有事の際はロシアも加勢するという圧力をアピールする狙いがあるのではないか」と指摘した。

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