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高市早苗氏に衆院選の応援依頼〝殺到〟 すでに100件超、総裁選で支援しなかった陣営が…進次郎氏らのおひざ元・神奈川方面から要請

zakzak by夕刊フジ 2024年10月10日 11時16分

衆院は9日午後の本会議で解散された。衆院選(15日公示、27日投開票)では、石破茂首相(自民党総裁)の政策のブレや派閥裏金事件で旧安倍派らを標的にした「非公認」「比例重複を認めない」という政治手法が問われる。石破政権が党内対立を生むなか、求心力が高まっているのが、保守派が期待する高市早苗前経済安保相(63)だ。総裁選で党員・党友票がトップになるなど幅広い人気が証明され、旧安倍派ら総裁選で支援した候補者以外からも応援演説の依頼が殺到しているという。

自民党関係者は高市氏への応援要請について「10月上旬の時点で100件はとっくに超えている。書類で要請を受けているところだけでなく、通路で声をかけられることもあるという。全国を効率よく回らなければならないので、計画を立てているようだ」と明かす。

先月27日の総裁選で高市氏は、決選投票で石破首相に敗れたものの、第1回投票では党員・党友票を最多の109票、議員票も2番目に多い72票を集めるなど底力を見せた。

衆院選の応援演説は、高市氏を総裁選で支援した議員らが中心となるが、前出の関係者は「総裁選で高市氏を支援しなかった陣営からも応援要請はある。神奈川の方からも要請があったようだ」と声を潜める。

神奈川県は、石破首相を支援した菅義偉副総裁のほか、総裁選を戦った小泉進次郎選挙対策委員長や、河野太郎前デジタル相らのおひざ元だ。

全国各地での演説を想定し、選挙期間中に高市氏にSP(警護官)が付くと伝えられている。SPの警護対象者は本来、首相や首相経験者、閣僚、政党幹部らに限られるため、内閣や党の要職にない高市氏への対応は異例といえる。

党内の人脈作りに課題があるといわれてきた高市氏だが、決選投票で支援を受けた麻生太郎最高顧問と急接近している。総裁選直後に面会した際には、麻生氏から「石破も(首相在任は)長くないだろう。勉強はしなくていいから仲間を作れ。勉強をしたければ英会話でもやっていろ」と助言を受けたという。

石破政権をめぐっては、総裁選までの発言から豹変(ひょうへん)して早期解散に踏み切ったほか、安全保障政策では「日米地位協定の改定」「アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設」などの持論をトーンダウンさせた。安倍晋三元首相を「国賊」と罵倒した村上誠一郎総務相の起用や、政治資金収支報告書に不記載が確認された旧安倍派の候補を「非公認」としたり、比例代表との重複立候補を認めないなどの対応が物議をかもしている。

党内では保守派の不満や怒りがうっ積しているという。

前出の党関係者は「総裁選の議員票の比率は『53対47』で、普通なら挙党体制を組むべきところが組まなかった。衆院選でも旧安倍派が厳しい選挙戦を強いられており、(江戸幕府が尊王攘夷派の志士たちを弾圧した)〝安政の大獄〟のようだ。今回の措置は『反自民党』『反安倍派』の喜ぶことをやっているようにみえる。せっかく総裁選の高市氏出馬で戻りつつあった古くからの自民党支持者、岩盤支持層がまた離れる。比例の議席はだいぶ落とすのではないか」と語った。

共同通信社の世論調査では、自民党支持層の石破内閣支持率は65・8%で、岸田文雄内閣発足時の2021年10月調査の74・7%と比べ、8・9ポイント減った。総裁選で石破首相が岩盤保守層の支持を得た高市氏と激しく競り合ったことも背景にあるとみられている。

政治評論家の小林吉弥氏は「自民党が単独過半数を大幅に割るようなことになれば、高市氏を先頭に立てて〝石破おろし〟が起きるかもしれない。自公で安定多数を維持できても政策の軸がブレている石破政権への野党の攻撃で、支持率が低下することも予想される。その場合、高市氏は下手に仕掛けなくても機を待つ方が得策ともいえる。衆院選で旧安倍派がどこまで議席を守れるかも焦点で、チャンスが訪れるかは選挙の結果次第だ」と指摘した。

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