欧州でも屈指の映画大国になったポーランドではアンジェイ・ワイダの名作「灰とダイヤモンド」のような素晴らしい映画が次々と誕生している。そんなポーランド映画6作を上映する「ポーランド映画祭」が22日から東京・恵比寿のエビス・ガーデン・シネマで開催される(28日まで)。
注目は、ポーランドのノーベル賞作家、ヴワディスワフ・レイモント原作の「農民」(2023年、DKウェルチマン、ヒュー・ウェルチマン監督)。昨年度のアカデミー賞国際長編映画賞にもノミネートされた。実写映像を油絵に描き直す斬新な手法で農民たちの生活を活写している。もちろん日本初上映だ。
日本人ピアニスト反田恭平が2位に入り話題になった5年に一度開催されるショパン・コンクール。その舞台裏を追ったドキュメンタリー映画「ピアノフォルテ」(23年、ヤクブ・ピョンテック監督)も目玉作。常人には想像もつかない激しい練習を経て、重圧に耐えながら演奏に挑む若者たちに寄り添い、臨場感たっぷりに撮った映像はまさに宝物だ。
実写映画ではミハウ・クフィェチンスキ監督の「フィリップ」(22年)がいい。ナチスに両親や婚約者を殺されたフィリップが血なまぐさい銃や爆弾を使わずにナチスに復讐を遂げる。時代に翻弄された男の悲劇が胸を打つ。
注目の新鋭作家ヤン・コマサ監督の「自殺ルーム」(11年)、「リベリオン ワルシャワ大攻防戦」(14年)、「聖なる犯罪者」(19年)はいずれも日本初上陸だ。 (望月苑巳)