ニュースやワイドショーを見ていると、「VTRの編集が雑になったなあ」と思うことがよくあるのですが、それを象徴的に表しているのが「サイド」です。
「サイド」とは「サイドスーパー」のことで、画面の右上などに出ている見出し的なテロップのこと。このサイドが最近、以前より適当に作られている感じがするんです。
その最もよくある例が「ネタバラシ」サイドです。テレビ番組は、基本的には「みんなが知らない新しいことを紹介する」のが基本的な役割のはずで、VTRのサイドは「一体なんだろう」と興味を引くものでなければならないはず。
でも、最近よく「VTRの内容を先にバラしてしまっているサイド」を目にします。例えば、何か流行しているものを紹介するVTRでは、最初のサイドは「大学生の間で意外なモノが人気」とかそういう感じで、「何がはやってるのかな?」と気にならせて、続きを見てもらうわけです。
で、そういうつもりでVTRも構成していて、ナレーションなんかでも「それはいったいナニ」とか言っているのに、サイドに初めから答えが明かされていたりする。まるで答えがバレているクイズみたいなもので、シラけてしまうことこの上ないのですが、ホント最近よくあるんです。
たぶん「はじめから何の話か分かったほうが見てもらえる」というのであえてネタバレしているわけですね。
これってある意味、「あなたたち、どうせちゃんとVTR見てくれないでしょ。適当に見てるだけでしょ」と思ってるからこういう演出になるわけです。まあ、視聴者がそんなに真剣にテレビを見てないのは真理なんですけど「雑だよなあ」と思ってしまいます。
他にも、とても気になるのが「人の顔に被っていても抜かない」こと。人の顔が映像の右上に写っている場合には、サイドが邪魔になって人の顔が見えなかったりすることがよくあります。以前ならこういう場合には必ずサイドをいったん外していたのですが、最近は目が隠れていてもお構いなしでサイドを入れっぱなしにしてますよね。これは結構失礼に当たるとされていて、かつては皇室のニュースなどでは皇族の方の顔にサイドが絶対に被らないようにサイドをあえて右下に出したりしたものです。
あと、訃報では派手な色目を避けて、モノトーンのサイドにするという番組も減りました。時代が変わったという面もあるんでしょうが、もう少しきめ細かにサイドを入れてもいいのにな、とジジイ的には思います。ミステロップも多いしね。
■鎮目博道(しずめ・ひろみち) テレビプロデューサー。1992年、テレビ朝日入社。「スーパーJチャンネル」「報道ステーション」などのプロデューサーを経て、ABEMAの立ち上げに参画。「AbemaPrime」「Wの悲喜劇」などを企画・プロデュース。2019年8月に独立。新著『腐ったテレビに誰がした? 「中の人」による検証と考察』(光文社)が発売中。