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いまが解決へ「最後の機会」埼玉・川口のクルド人問題、不法滞在で「不幸を再生産」「感情的な排外主義に陥らず、冷静に法執行求めるべき」

zakzak by夕刊フジ 2024年12月30日 10時0分

ジャーナリスト・石井孝明氏が語る

埼玉県川口市周辺に集住するトルコの少数民族クルド人の問題について取材を続けているのがジャーナリスト、石井孝明氏(53)だ。18日に取材の成果をまとめた『埼玉クルド人問題 -メディアが報道しない多文化共生、移民推進の真実』(ハート出版)を発売した。石井氏は夕刊フジのインタビューに、埼玉のクルド人問題の「実態をまとめたのはおそらく本書が初めて」とし、いまが問題解決への「最後の機会だ」と訴えた。

石井氏は元時事通信記者で、フリー転身後も主に経済分野の取材を続けてきたが、昨年5月、SNS上で注目されていた埼玉県南部の在留クルド人による問題行動を取材したことが転機となった。

「クルド人による日本人女性の性被害は確実に存在し、女性やその親たちは恐怖している。そうした声を直接聞き、看過できなかった。殺人事件やひき逃げなども発生しているが、日本政府は国内に居住するクルド人の数すら把握していない。政治や行政、警察などが問題解決へ消極的だった事実にも驚かされた」

石井氏の新刊は発売前から3刷が決定した力作だ。当初からこの問題を報じていた石井氏は、被害者からは感謝される一方で、一部からは「ヘイト」行為だとして、非難や脅迫の対象となった。

「何度もう取材を止めようと思ったことか分からない。でも、外国人問題を取り上げると『差別だ』とレッテル張りをするおかしな風潮が日本にはある。差別する意思など毛頭ないし、一部の外国人によって日本人の人権と安全が侵害されているという事実を伝えただけだ。クルド人の労働者、子供、女性ら自身も法律の埒外(らちがい)にいることで悲惨な状況にある。このようなクルド人の人権を語っているのが私だけというのもおかしな状況だ」

石井氏は、10歳足らずのクルド人の子供たちが学校に行かず、住民証言によると市内の商業施設で万引を行うなどの問題行動をしていることにも言及し、「こうした子らを救うためにも日本への正式な滞在資格のない人は本国へ返すべきだ。彼らの多くも日本人と共生する気持ちはなく、日本にいることでかえって不幸を『再生産』している。10代後半の少年たちの中には、本格的な組織的犯罪へ関与する例もみられ始めている」

在留クルド人をめぐっては、法務省入国管理局(現・出入国在留管理庁)が2004年、難民認定申請者の多いトルコ南部の村で現地調査を行い、「出稼ぎ」目的と断定する報告書をまとめていた。しかし、日本弁護士連合会が「人権侵害」と問題視したことで、その後20年間、内容が「封印」されていた事実を産経新聞が11月24日の産経ニュースと同25日付紙面でスクープ報道し、問題への社会的関心は高まっている。

自身もかつて大手メディアの記者だった石井氏は、「クルド人の問題と川口市民らの窮状を産経新聞、夕刊フジ以外のマスメディアが正面から取り上げていない。一部に彼らの人権擁護を訴える新聞もあるが、自らの主観的な社論の押し付けではなく、事実を伝えて主権者である国民に情報の面で選択肢を提供することがメディアのあるべき役割のはず」と強調した。

衆院埼玉2区(川口市)選出の新藤義孝前経済再生担当相(自民党)も今月10日の衆院予算委員会で、クルド人による迷惑行為について「地域では本当に怒りが頂点に達している」と述べ、不法滞在状態の仮放免者などへの対応を政府に求めるなどした。

折しも、米国ではドナルド・トランプ氏が次期大統領に決まるなど、欧米では移民、難民受け入れによる治安の悪化や社会の不安定化が人々の怒りを呼び、各国で政策転換や政権交代が相次いでいる。

「現在のクルド人の問題は『難民』や『移民』ではなく、日本政府が『不法滞在の外国人』の管理に失敗したという話だ。しかし、わずか数千人のクルド人の対策に混乱する現状は、政府が進める大量の移民受け入れの将来を判断する重要な材料になる」と石井氏は力をこめる。

自身も以前は、少子化対策への〝特効薬〟として移民受け入れに賛成だったというが、取材の結果として、こう警鐘を鳴らした。

「いまでは当時の無知を恥じている。川口で起きていることは全国どこでも起きる。現在の日本は、大量の難民、移民受け入れで混乱していった以前の西欧や北欧と同じ状況で、このままならわれわれの知る日本社会は壊れる。ただし、例えば集団としてのクルド人や他の国籍の人々を名指しで非難するような感情的な排外主義には絶対に陥ってはならないし、『差別だ』とひとくくりにされて終わっていい議論でもない。冷静に外国人への法執行を行政に求めていくべきだ。日本はまだ『外国人との共生』の準備ができていない。今後の日本のあり方を熟慮し議論する、これが最後の機会だと思う。移民政策を進めたい政財界も世論が高まれば動かざるを得ず、いまその第一歩が起きている」

(丸山汎)

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