ついこないだ映画館で見たばかりの「PERFECT DAYS」がもうU―NEXTで配信しております。この映画、公開前からなかなかの話題作でした。何せ監督がヴィム・ヴェンダースで、主演が役所広司ですからね。
私の世代でヴィム・ヴェンダースと言ったら、やっぱり「ベルリン・天使の詩」でしょう。カンヌ国際映画祭で監督賞を受賞したからなのか、当時話題になりました。私は何年か後にビデオをレンタルし、5日間連続で見て、毎回前半部分で寝てしまったという印象的な記憶があります。要するに、まだ見てないです。見てないのに妙に思い出深い監督であったりはします。
東京でトイレ清掃員として働く平山は、静かに淡々とした日々を生きています。その毎日は同じことの繰り返しに見えるのですが、同じ日は1日としてなく、男は毎日を新しい日として生きているのです。そんな男の日々に思いがけない出来事が起き…。
この映画は私が初めて最後まで見たヴィム・ヴェンダース作品ということになるのですが、私はすこぶる面白くグッときてしまいました。不器用な男が、実にシンプルに生きている様が多く語られるんですが、落語家として、エンターテインメントを愛する身としては、この平山という男の人生の中に音楽や文学が自然に入り込んでいるところがたまらないのです。
彼が仕事の移動中に聞く音楽は王道といえば王道なのですが、実にいい音楽ばかりなのです。これを今どきカセットテープで聞くわけですわ。1周回って流行の最先端なことをやっているような感じもまたいい。
淡々と生きている男の日々に、こういった音楽がスパイスとなって、気持ちを紛らわせたり、癒やしてくれたり、励ましてくれるのです。この映画を見たらヴァン・モリソンは「これこそが音楽家の本懐だ」と思うんじゃないかな?
役所広司さんはこの作品でカンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞。彼しかできない芝居! そして私は大好きな映画だ! (立川志らべ)
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