日本貿易会によると、2025年度の貿易の経常収支は29兆9610億円の黒字となり、3年連続で過去最高を更新する見通しです。これ、株価上昇の要素になります。
国際エネルギー機関(IEA)は、化石燃料の需要の伸びが止まる一方、石油と液化天然ガスの供給は増加し、世界はエネルギー価格下落時代に向かうとしています。原油価格下落は製造業、建設業などのコスト軽減につながり、ガソリン価格も安くなることから、消費支出も増加します。
さらにIEAは電気自動車(EV)が30年までに世界の新車販売台数の50%を占めるとしています(現在は約20%)。これ、自動車産業には追い風です。
自動車というと、トランプ関税の心配はあるものの、トランプさんは関税政策をディール(取引)の材料として使っているだけなので、想定ほどの懸念材料にならないと思われます。ということで、25年はまず自動車関連に注目。部品メーカー、タイヤ・メーカーなど多岐にわたります。
もう1つ、25年は軍事関連に目を向けたいところ。政府は23~27年度の防衛費の総額を43兆円程度と定め、25年度は3年目に当たります。昨年暮れに閣議決定した25年度の防衛予算案は過去最大の8兆7005億円。反撃能力に必要な装備品だけでなく、自衛官の処遇改善費も確保。自衛隊の設備も強化します。防衛力強化は建設関連にも波及します。
今年、S&P500(米国の主要500社で構成する株価指数)は引き続き上昇し、7000ポイント達成の可能性も高いです。トランプ政権の減税や規制緩和政策が株価押し上げに期待されます。
ただ、株価というのは、誰が大統領とかではなく、最終的には企業の利益がどれだけ伸びるのかに収れんします。ポイントはEPS(1株当たりの純利益)。減税すると企業に余力が出て、設備投資と自社株買いをします。こういったことも含め、米国企業の25年、26年のEPS成長率は14%強が見込まれます。EPSが成長する限り、調整しながらも株価は上昇します。
米国は今年前半、関税前の駆け込み需要もあって景気は拡大。それに伴い、日本企業も上昇。それやこれやで、25年末の日経平均株価は4万5000円まで行くのではないでしょうか。
■おまけのひと言
「共同通信社の主要114社の調査によると、今年の春闘で『賃上げ実施を予定』が21%、『前向きに検討』と合わせると46%が賃上げに積極的です。賃上げ率は『前年と同程度』28%、『前年を上回る水準』8%。物価上昇に追いついてほしいところですが」
【財ザク!】「貯蓄から投資へ」と提言する政府。その投資で少しでも財産アップを達成するために「うまちゃん」が有益な情報をザクザクとお届けします。
■馬渕磨理子(まぶち・まりこ) 経済アナリスト。日本金融経済研究所代表理事。イー・ギャランティ社外取締役。愛称・うまちゃん。1984年生まれ。滋賀県出身。同志社大学法学部卒、京都大学公共政策大学院修士課程修了。大学時代はミス同志社。『LiveNewsα』(フジテレビ系)など出演番組多数。新刊『一歩踏み出せない人のための株式原論』(プレジデント社)=写真=が話題。