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経営者目線 84歳からの再建!!加賀屋の小田代表に敬服 ワタミの宅食を避難所に一日500食対応

zakzak by夕刊フジ 2024年7月24日 15時30分

元日に発生した能登半島地震で被災した日本一の名旅館、加賀屋(石川県七尾市)を訪れ、小田禎彦代表取締役から被害と再建についての説明を受けた。

加賀屋監修の「ワタミのおせち」をはじめ、25年近く親しくお付き合いをさせていただいている。旅館の中は、正月の「振る舞い酒」のたるも置かれたままで、時間が止まっているような感じだった。加賀屋は日本海に面する絶景が名物の一つだが、地震の際にそれがあだとなり護岸が大きく損傷し、大規模な工事を要する状態だという。それでも、雇用調整助成金などを活用し、全社員を守る方針を貫いている。

小田代表は大規模工事を終え、できるだけ早く旅館の営業再開をしたいという熱意を示していた。その夜、私が経営者だったらどうするかを考えた。私は今後、日本の財政危機は避けられないと確信している。金利はどんどんあがっていく。為替も1ドル=300円台に向けて進んでいくだろう。そう考えると、大規模工事にかかる巨額費用を少しでもはやく低金利のうちに、固定金利で借りたい。

そして、営業再開後はインバウンド(訪日外国人)客をメインに据える。円安が進めば一泊30万円、50万円の部屋でも、外国人は安いと感じる。円の価値の目減りをうまく利用できれば一気に借金を返せる「ウルトラC」もあるかもしれない。ただ、針に糸を通すような経営だ。

旅館の営業再開まで、ワタミの宅食の販売網を通じて、加賀屋監修弁当やお土産物の販売など、できることはなんでも応援しますと、約束してきた。

能登空港から現地入りした際、道中の家屋や神社などが、まだ倒壊したままで、復興が遅れている印象を受けた。上下水道も個別の住宅まで行き渡るまで復旧していないと聞いた。岸田文雄首相が表明した、7割の旅行費を支援する「北陸応援割」も、営業再開できていない旅館がある中では的外れに感じる。二次避難の人もまだまだ多い。

地震発生後、自治体から1日500食、朝昼晩の食事を避難所に届けてほしいと要請があった。人手不足でどの企業も断る中、ワタミの宅食石川金沢営業所で引き受けた。本社と営業所一丸となって、どうしたら届けられるか体制を考え抜いた。

ワタミには困難に直面したときに「方法は無限大」という合言葉がある。あきらめない姿勢を示すのがトップの役割だ。加賀屋の小田代表も会社や雇用を守るために、「すし職人塾」をつくり、短期間で職人を育てて海外に出す事業構想を語っていた。被災したにも関わらず、84歳で、心が折れていないそのエネルギーに敬服した。

思いおこせば、私と小田代表を結びつけてくれたご縁は、地元出身の元横綱輪島さんだった。黄金の左といわれ気迫のこもった強い相撲が印象的だった。経営も最後はトップの「気迫」が運命を決める。 (ワタミ代表取締役会長兼社長CEO・渡邉美樹)

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