南海トラフ巨大地震への不安が再びよぎった。13日午後9時19分ごろ、宮崎県で震度5弱の地震があった。気象庁は昨年8月に続き2度目の南海トラフ地震臨時情報を発表したが、「(巨大地震の)発生の可能性が平常時と比べて相対的に高まったと考えられる現象ではない」として調査を終了した。ただ、識者は歴史的な経緯をみても「リスクは高くなっている」と警告する。日常の備えも重要だ。
13日の地震の震源地は日向灘で、震源の深さは約36キロ。地震の規模はマグニチュード(M)6・6と推定される。宮崎県の宮崎港と日南市で、最大で約20センチ、高知県の室戸市室戸岬と土佐清水で約10センチの津波を観測した。
南海トラフ地震臨時情報(調査中)が一時発表されたが、地震の規模が「巨大地震注意」の発表基準であるM7に満たなかった。気象庁は調査終了を受けた記者会見で「地震はいつ起きてもおかしくない。日頃からの備えを確実に実施しておくようお願いしたい」と呼びかけた。
南海トラフ地震は、歴史的にみて駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域におおむね100~150年間隔で繰り返し発生している。1946年には昭和東南海地震(M7・9)、48年には南海地震(M8・0)が起きた。80年近くが経過する現在、警戒が続いている。
昨年8月8日にも日向灘を震源とした最大震度6弱(M7・1)の地震が発生した。臨時情報を発表したことで、交通への影響や、イベントの中止、津波を警戒した海水浴場の閉鎖など各所に影響が出たが、その後、大きな地震はなく、同月15日に終了した。
今回の臨時情報についてもSNSでは「また外れた」「何の意味もない」と批判の声も一部にある。だが、意識を緩めるのは危険だ。
災害危機管理アドバイザーの和田隆昌氏は「リスクは日に日に高くなっている。短期的に予測は難しいかもしれないが、統計をみても中長期的には〝過去に地震が起きた地域ではまた起こる〟ので、楽観的な観測こそ根拠がない」とクギを刺す。
重要な「3つの備え」
日頃からできる備えはあるか。和田氏は「普段から避難の場所や、何分何秒で安全に避難できるかを確認する。『水』『食料』、情報収集に必要なモバイル機器を充電するバッテリーなど『電気』の3つは用意しておくとよい。南海トラフ以外でも首都直下地震が警戒されている。居住地域や家屋、通勤・通学先や高齢者かどうかでそれぞれリスクは異なる。個人単位でどのようなリスクがあるのか、改めて知る必要がある」と助言した。