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新・親も知らない今どき入試 教育力が高い大学ランク 東工大と東京医科歯科大が統合、10月誕生の東京科学大が8位 世界的な医工連携の研究拠点として期待

zakzak by夕刊フジ 2024年10月18日 11時0分

進学校の進路指導教諭がお勧めする大学の第5回は、「教育力が高い大学ランク」をお届けする。

大学通信は毎年、全国の進学校の進路指導教諭を対象に、お勧めの大学を調査している。2024年は、約3000高校にアンケートを送付し、766校から回答があった。ポイントは、アンケート項目別にお勧め度の高い順に大学を5校連記してもらい、最初の大学を5ポイント、次を4ポイント…として集計した。

進学校の教諭が口をそろえて言うのは、「研究力と教育力はリンクしている」ということ。優れた研究を行っている大学は、その過程や成果を学生に還元できることから、高い教育力を有するというのだ。

そうした視点からランキングを見ると、1位東大、2位東北大、3位京大と、高い研究力を誇る大学がベスト3を占めるのもうなずける。このランキングの並びは前年と同じで、ポイント面で4位以下を大きく引き離している。

トップ3の大学について、東京の私立中高一貫校の教諭は、「どの分野でも一流に触れられる。周囲の学生の水準が高いので刺激を受ける。なかでも東大は教養課程があることも大きい」と話している。

3大学の中では、東大と東北大のポイント差が近いのに対し、東北大と京大は大きな差がある。東北大がこのポジションにいるのは、政府が創設した10兆円規模の大学ファンドにより支援する国際卓越研究大に、東大や京大に先駆けて認定されたことも影響しているのではないか。

上位3大学以外にも、理系学部が充実している国立難関大は強く、5位に大阪大、7位に九州大、8位に東京科学大、10位に名古屋大が入っている。この中で注目したいのは、東京工業大と東京医科歯科大の統合により、10月に誕生した東京科学大。東京工業大の昨年の順位は14位、東京医科歯科大は129位だったが、両大学が統合することにより、今回は8位に。

「東京科学大は、世界的な医工連携の研究拠点として期待されており、研究力と連動して教育力が上がる可能性が高い」(予備校関係者)

私立大で最上位は4位の東京理科大。指定科目の単位を取得しなければ進級できない「関門制度」を設けて、学生をしっかりと育てていることが、進学校の教員から高く評価される一因となっている。

研究力と教育力に密接な関係があるとなると、研究成果が顕在化しにくい文系学部は不利になる。私立最難関の早慶の順位を見ると、早大9位、慶大12位と大学の難易度の割に上位にこないのは、文系学部の定員規模が大きいことが影響しているようだ。

そうした中、国際教養学部のみの単科大学ながら6位に入ったのは国際教養大。全ての授業が英語で行われ留学が必須という、グローバル教育の充実度が高く評価されている結果といえよう。

■井沢秀(いざわ・しげる) 大学通信情報調査・編集部部長。1964年2月6日、神奈川県生まれ。明治大学卒業後、受験情報・分析を主力事業とする大学通信入社。大学の入り口(入試)から出口(就職)まで、情報を収集し発信中。中高・大学受験の案内書・情報誌を編集するほか、新聞社系週刊誌、経済誌などへの情報提供と記事執筆を行う。

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