国民負担の軽減策として浮上した「年収103万円の壁」の撤廃をめぐり、地方自治体側が「地方税が減収となる」と訴えて相次いで反対を表明している。これに対し国民民主党の榛葉(しんば)賀津也幹事長(57)は15日の記者会見で、「地方財政に悪影響を与えることは絶対させない」「財源論の前に国民の生存権だ」と強調した。
国民民主党は基礎控除などの非課税枠を178万円に引き上げることにより「手取りを増やす」と主張している。
だが、全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事は、住民税や地方交付税が減収になるとし「大きく住民サービスが下がる」と反対した。石川県の馳浩知事も15日、「財源についてお示しいただくことが責任政党の姿ではないか」と注文を付けた。
こうした批判に対して榛葉氏はこの日の会見で「私も地方の議会出身。地方財政に悪影響を与えることは絶対させません。ぜひ安心してほしい」と呼びかけた。
国民民主党はガソリン税を軽減する「トリガー条項」の凍結解除も主張している。榛葉氏は「取りすぎている税金を国民へ返す」「地方はガソリンを入れないと生きていけない。これは憲法25条の生存権の問題」だと述べ、地方にとってもメリットが大きいとした。
政府はガソリン代や電気料金について補助金の支給を行ってきたが、榛葉氏は「補助金行政ではなく減税をすべきだ。後から補助金で返すなら最初から取らなければいい」「何度も言いますけど財源論の前に国民の生存権です」と熱弁をふるった。
知事らの反対論をめぐっては、同党の玉木雄一郎代表(55)がテレビ番組のなかで、総務省が地方自治体側に反対の表明を要請するなど「工作を行っている」と言及した。村上誠一郎総務相が知事サイドに連絡し、撤廃の問題点を指摘する「発言要領」を作っているとも指摘した。
村上総務相は15日の会見で、「依頼を行った事実はない」とし、村井知事も否定した。
榛葉氏は「われわれは今週の初めに、『大臣から全国知事会に連絡を入れていた』と複数の筋から確認をしている。私はあったんだろうと思う」と再反論した。
11日に玉木氏が不倫報道をめぐって都内の街頭で行った謝罪について、台などに乗らず後方からは見えづらかったとして、記者から「アリバイ作りみたいな謝罪」と批判を受けたが、榛葉氏は「隠れないために出てきて、皆さんと同じ地べたに足を付けて訴えた」とフォローした。