国連の女性差別撤廃委員会が日本の皇室の皇位継承を男系男子に限る皇室典範の規定は、女性差別撤廃条約の理念と相いれないとして改正を勧告したことに国内で反発が広がっている。保守派として知られる松原仁元国家公安委員長(68)=無所属=は、夕刊フジの取材に「極めて受け入れがたい。勧告を出す前に、その国の長い伝統や文化を踏まえて判断するべきだ」と強く批判した。
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勧告は、2016年以来、8年ぶりに日本への対面審査を行った女性差別撤廃委員会が、10月29日にスイス・ジュネーブで公表した「最終見解」に含まれていた。
松原氏は「男系男子ということ自体に、大変長く存続してきたわが国の皇位継承の本質が含まれている。それが女性差別という概念で判断されることは全く容認できない」ときっぱり語った。
同委員会の会合に出席した「皇統を守る国民連合の会」会長の葛城奈海氏は、「世界にはさまざまな民族や信仰があり、尊重されるべきで、内政干渉をすべきではない」と演説した。
前出の松原氏は「葛城氏の指摘は全くもって正当だ。今回の勧告は内政干渉よりさらに重大で、長きにわたって続いてきた日本民族への干渉といえる。皇位の男系継承は天皇の正統性の根拠であり、これが崩れるならば日本の国家の骨格の否定につながる」と話す。
林芳正官房長官は30日、皇位継承に関する勧告について、同委員会側に「強く抗議をするとともに削除の申し入れを行った」と述べた。
ただ、前回16年の同委員会の日本に対する審査会では日本政府の強い抗議により、皇位継承に関する同様の勧告の記述が最終見解案から削除された経緯がある。
松原氏は「政府は外交力の欠落があったのではないかと深く反省するべきだ。日本の国の長い歴史風土を諸外国に知ってもらうことは極めて重要だ」との見解を示した。
松原氏は、石破茂首相が就任前、女系天皇の議論を排除すべきでないと言及したことを挙げて「そうした言動が今回の勧告を出される隙につながったのではないか」と指摘した。