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プロが教えるシャンプー術(6)」 抜け毛・頭皮トラブル①~季節で変わる

日刊ゲンダイ ヘルスケア 2024年6月24日 9時26分

 ミドル以上の男性は、シャンプー時の「抜け毛」も悩みのひとつです。国内外の季節による抜け毛の変化は図のようになっています。イギリスのケースでは、抜け毛が3月で最も少なく9月で最大に達しています。日本でも2~5月の抜け毛が最も少なく、8~11月でその1.5~2倍になっていることが分かりました。このように、北半球での抜け毛は秋に多いことが分かっています。

 この現象は「季節性脱毛」とも呼ばれ、主要因は紫外線の影響と考えられています。紫外線は5月から増え始めて8月で最大になります。5月から8月まで受け続けた紫外線ダメージが頭皮に蓄積し、その影響が出るのが秋であるために抜け毛が多くなると考えられています。

 同様に、春先に抜け毛が多くなることも報告されています。特にスギ花粉の飛散が多い年は、花粉皮膚炎などに伴う皮膚バリア機能の低下によって、脱毛や痒みが増えるのではないかと推測されています。このような季節性脱毛のケースでは、帽子の着用や日傘の使用が有効と考えられます。

 別の例では、髪のゴワゴワ感、痒み、ヒリヒリ、乾燥などの頭皮トラブルを自己申告した方の居住場所を調べた結果、海から15Km圏内が全体の96%であったとの報告があります。潮風中の微量の塩分が毛髪のゴワゴワ感を起こすと推測されます。また、海水はアルカリ性(平均pH8.1)であるため、軽度な場合は頭皮のピリつき、さらに頭皮の痒みなどを引き起こす可能性が考えられます。

 さらに、頭皮トラブルを寒暖差で見てみると、暑い時期に向かう季節は低年齢層が多くなり、寒い時期に向かう季節は高年齢層が多くなる傾向にあると報告されています。高年齢層は、加齢により皮膚のバリア機能が低下しているため、乾燥する時期に症状が出ると推測されます。

 また、頭皮トラブルは暑い時期に向かう季節は女性が多く、寒い時期に向かう季節は男性が多くなる傾向があるとの報告もあります。暑い時期に向かう季節は、毛量の多い女性では汗や皮脂が多くなる頭皮環境であり、常在菌などの働きで刺激物質の発生が多くなると推測されます。逆に寒い時期に向かう季節は、毛量の少ない男性ではより頭皮の乾燥が進む結果、頭皮が敏感になり痒みも感じやすくなると推測されます。(つづく)

(山内力/日本美容専門学校講師、元東洋大学非常勤講師)

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