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【タイ】国王誕生日の祝賀行事が全国で盛大に開催

Global News Asia 2014年12月8日 14時59分

 2014年12月5日、国王誕生日と同時に父の日ともされるこの日、タイ全土の役所やお寺などが式典会場を設え、日中から国王への祝賀式典や父親への感謝のイベントが開催された。そのため、売れっ子や有名歌手になると、5つ以上の会場をハシゴすることも多い。記者は、今年、日本へも訪れた歌手イム・スティダー嬢に一日同行取材する機会を得た。

 各地でのイベントに花を添える人気歌手たち。タイでは、こうしたイベントに歌がお笑いは欠かせない。地域の学校の生徒たちによる踊りや演奏に加え、人気歌手を呼ぶことも珍しくない。

 イム・スティダーさんは、2011年、CDデビューからすでに3年経ち、新作が待ち望まれている。しかし、タイの音楽界も甘いものではなく、3年も間が空けば、その名前も忘れられていく。そんな中で、この日2つの行事に呼ばれたのは、彼女の歌と実力がまだ評価されていることに他ならない。

 5日15時30分頃、バンコク都内の自宅を出たイム一行は、高速道路で東部チャチュンサオの会場へ向かう。所属会社の都合で、この日は自家用車を使用。普段は会社が車と運転手を手配するが、父親が運転する。イベントが多いこの日は、間に合わなかったようだ。

 初めて訪れる会場とあって、途中、道を聞きながら到着した1つ目の会場では、地域の児童たちによるショーが繰り広げられた。2015年末に控えたアセアン経済統合に向けて、加盟各国の民族衣装をまとった小学生たちのかわいい踊りや、有名テレビ番組で高い評価を受けた楽団などが次々とステージに上がっていた。

 19時半頃に予定されていたイムの出番は、結局1時間ほど遅れ、20時半頃にステージに登場。6曲ほど歌ったが、会場が講堂という室内ということと、行政区長も列席しての行事だったこともあり、全体的におとなしい雰囲気のままだった。

 ステージを降りたイム一行は、休む間もなく次なる会場へ。5キロほど離れた会場へ到着したのは、すでに21時半を過ぎていた。前のステージが遅れたため、こちらでは着いて主催者への挨拶もそこそこに、ステージへ。

 お寺の駐車場を使用した会場は、外周をぐるりと屋台が並び、まさに寺祭り。同じ祝賀イベントでも全く違う雰囲気だった。そのためもあってか、観客のノリは良く、早いテンポの曲では、ステージ前で踊り出す一団もあり、陽気なタイ人の本領を垣間見せていた。

 ここでは7曲を歌ったイム。ステージを降りると主催者やファンたちが彼女を取り囲み、一人一人と記念撮影。この間、何の規制をすることもなく、ファンたちも我先にということもなく、常に和やか雰囲気が漂っていた。

 ひと通り、写真を撮り終えたイム一行はそのまま会場を後にした。この日は比較的早く帰れたが、他のイベントでは夜1時頃に終わることも珍しくない。そのため、自宅へ帰り着くのが午前3時、4時になることもあるという。

「歌うことが何よりも好きで、他には何の取り柄もない娘だから、何とかこの世界で成功してほしい」
 娘のステージを見つめながら漏らした父の言葉は心からの願いであり、そのためなら体力の続く限りサポートしたいと語った。

 まだまだ有名とは言い難い、イム・スティダー嬢。同行したこの日、ちょうど新曲が出来上がったと所属会社から連絡がきたと嬉しそうに話していた。彼女の家は、決して裕福とは言い難く、誠実な両親がコツコツと商売をしている家庭。お酒も飲まず、しつけに厳しい父親に、礼儀正しいイム嬢。父の日のこの日も、家を出る前に父への感謝をしてきましたとのことだった。

 タイ人の国王陛下への敬意と父親への尊敬。父と子の関係は、年に1度こうして互いを確かめあうように、それぞれの家庭でも受け継がれている。
【取材 : そむちゃい吉田】

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