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【タイ】「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」inチェンマイ2

Global News Asia 2015年3月8日 8時0分

 2015年3月8日、シリーズ「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」を定期的にお届けする。JICAシニア海外ボランティアとして、チェンマイ大学医療技術学部作業療法学科で、指導に当たられている渡邊 邦夫さんに「チェンマイ大学恒例:新入生ドイステープ登山」について執筆してもらった。

 2014年9月13日、チェンマイ大学恒例の「新入生ドイステープ登山」が行われた。登りばかり13キロメートルの強行軍だ。

 朝6時過ぎ、学部ごとにユニフォームを着て隊列を組み、まずは構内で気勢を揚げる。たくさんの家族や友人の見送りを背に正門を出る。しばらくするとつづら折りの坂道が続く。途中には大学が準備した給水所、休憩所、昼食場所がある。電話会社や日系企業のブースもあり、きれいなお姉さんたちが冷たい飲み物やお菓子を配ってくれる。

 中腹に差し掛かるころ、山から下りてくる4年生の一団と登っていく新入生がすれ違う。「僕たちは山を越えたが新入生はこれからがたいへんだよ」というメッセージみたいだ。早目のお昼を食べ終えて再び登り始めると、バテてくる新入生がちらほら。上級生がそうした学生を優しく抱えて木陰で休ませるかと思えば、アンモニアをかがせ気合を入れるという手荒い励ましもある。

 圧巻は最後の胸突き八丁の坂をみんなで助け合って駆け上がるシーン。卒業生や上級生が大勢待ち構えているのでひたすら走る。そして標高1,000mを超える山頂のお寺にお参りをする。下山する頃には大雨になり大変だったけれど、みんなとてもさわやかな表情をしていた。

 総勢で1万人以上の隊列になるので、道路は大渋滞。でもソンテウ(=タイの乗り合いバス)の運転手さんや沿道のお店の方々は嫌な顔をせず、ニコニコして手を振ってくれる。チェンマイ大学は1964年に地元の熱い期待を担って創設された国立大学だ。大渋滞にもかかわらず、地元の人々が声援を送ってくれるのはチェンマイ大学を誇りに思っている証拠なのかもしれない。

 あれから半年、1年生は前期を終え来週から後期の中間試験が始まる。登山の時の半分心細そうな表情がすっかり変わり、制服姿も板について学生らしくなってきた。恵まれた環境の中でぐいぐいと成長していく若者の姿を間近で見ているとこちらまで元気が湧いてくる。
【執筆/撮影 : JICAシニア海外ボランティア 渡邊 邦夫】

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