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【インド】金融マーケットの分析レポート―HSBC投信

Global News Asia 2015年7月17日 20時7分

 2015年7月17日、HSBC投信は、インドの金融マーケットの現状や見通しについて分析を伝えた。

 このところ、インド国内投資家の株式投資が活発化している。6月はインド株式市場及びルピー相場は底堅く推移し、他の新興諸国をアウトパフォーム。債券市場は軟調だった。当面、国内ではモンスーン期(6~9月)の降雨量の動向、海外要因では米国利上げ観測やギリシャ情勢を注視している。

 インド国内投資家の株式投資が活発化し、6月は国内投資家がインド株式市場を下支えした。6月はギリシャ債務問題や中国株式市場の急落などを受け、世界の金融市場が不安定になったが、インド株式市場及びルピー相場は抵抗力を示し、アジアおよび他の多くの新興国市場をアウトパフォームした。

 6月のインド株式市場は、ファンドを中心とした国内機関投資家の買い越し額が過去最高を記録したことに加え、堅調な国内景気指標なども支援材料となり、底堅く推移した。外国機関投資家の売り越し額は9.6億米ドル(約1,180億円)と、年初来の最高額となったが、国内投資家の買いにより株価への影響は相殺された。

 FRB(米国連邦準備制度理事会)の利上げ観測が高まる中、今後は海外投資家が新興国市場への投資を手控える状況も想定される。こうした中、国内投資家による投資が増加していることは、資金フローの大きな振れに対する緩衝材の役割を果たすものと考えられる。

 個人の株式保有は極めて少ない。一方、国内の個人投資家については、家計資産を見ると、株式への配分は2.7%(2015年3月)と極めて少なく、今後は個人投資家の資金が株式市場へと流入することが期待できる。

 インドの経済ファンダメンタルズは大幅に改善
インド市場は引き続き国際金融市場のボラティリティ上昇の影響を受けるものの、過去2年間に主要経済指標が改善している点は注目される。2013年5月以降、米国の量的緩和縮小懸念が高まる中で、特に通貨が売られた「フラジャイル5(通貨が脆弱な5カ国:ブラジル、南アフリカ、トルコ、インド、インドネシア)」のうち、インドは経常収支と財政収支がともに大きく改善した唯一の国であり、さらにインフレ率も2桁台から現在は5%前後まで低下している。

 さらに、2013年後半以降、インドの外貨準備高は増加傾向にあり、2015年6月には3,554,6億米ドルと過去最高に達した。これは、金融市場、為替相場の大きな振れの対応に大いに役立つものと見られる。このようにインドの投資環境は、過去約2年間で、大きく改善している。

 <マーケットサマリー>
 株式市場
6月のインド株式市場は、SENSEX指数が前月末比-0.2%となった。主要国市場は米国の利上げ観測やギリシャ情勢が注目され総じて下落したが、インドでは主としてモンスーン期(6月~9月)の降雨量に関する報道が相場を動かし、僅かな下落にとどまった。

 気象局は今年は降雨不足との予測を発表し、株式市場ではこれが一時売り材料となった(降雨量不足の場合には、農産物の不作から経済成長率低下、インフレ率上昇の可能性)。しかし、6月から現在までは、平年を上回る降雨量が観察されており、株式市場を支える要因となっている。

 7月以降も降雨量の動向が市場に影響を与えることが見込まれる。但し、7月以降の降雨量が不足した場合でも、政府は在庫の取り崩しなど供給サイドから対策を講じるものと見込まれ、過度な懸念は必要ないものとHSBC投信では見ている。

 債券市場
6月は、ギリシャ情勢など主として海外要因から、他の新興国債券市場とともに、インド債券市場も不安定な動きとなり、10年国債利回りは0.22%上昇した。

 7月に入り、国債の新規発行の一部中止による需給改善などから、インド国債利回りは低下している。また、外国機関投資家の国債投資枠をルピー建てで算定することが検討されており、為替変動に伴うポートフォリオ調整の負担軽減が期待できることから、投資家心理が改善している。

 為替市場
インドルピーは対米ドルで6月半ば以降上昇、月間では+0.27%となり、他のアジア通貨をアウトパフォームした。堅調な国内景気指標に加え、軟調地合いの原油市況(インドは石油消費の8割近くを輸入に依存)もインドルピーにとってプラスに働いた。

 今後のルピー相場については、引き続き強気に見ている。米国とインドのインフレ率格差は安定ないし縮小傾向にあり、原油安と経常収支赤字の縮小も引き続きルピー相場を支えよう。インドルピーは6月末の63.6ルピーから強含み、短期的には対米ドルで60~64ルピーのレンジで推移すると予想している。
【編集 : TY】

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