Infoseek 楽天

【タイ】電車で子どもに席を譲るべき? タイ人の美徳、魅力の源泉は人情

Global News Asia 2015年8月12日 17時0分

 2015年8月12日、タイの口コミサイトで、子どもと電車に乗ったときの事を嘆いたタイ人女性に、たくさんのタイ人が同情と、移ろい行く社会を危惧する声が寄せられると同時に、なぜ子供に席を譲るのかと理解に苦しむ声も寄せられた。

 タイの首都バンコクを走る高架鉄道BTS。そこに子どもの手を引いて乗り込んだ女性。車内に空席は無かった。いつもなら、誰かがスッと席を立ち、子どもを座らせてくれる。しかし、この時は様子が違った。

 席に座る誰もが、スマホに熱中して自分や子供に気を留めない。タイの伝統的な人情(ナムチャイ)も、ついに枯れ果てたのかと、嘆かわしい気持ちになった。そこでSNSに投稿。こんな社会じゃいけない。タイ人の美徳を大切にしようとシェアを呼びかけた。

 これに対して、多くのタイ人が賛同した。

「もし、わたしがその場にいたら、遠く離れていても席を立って譲っていた。」

「信じられない。偶然、タイ人が乗っていなかったのでは?」

「そこにいたのは、本当にタイ人でしたか?」

「そんな当たり前の事ですらできない人が増えている。」

「もう昔には戻れないの? いや、間に合うよね。」

 しかし、これに対して理解に苦しむ様子のコメントも散見した。

「なんで、子どもに席を譲るの? お年寄りならすぐ譲るけどね。」

「日本では、子どもに席を譲る何てことはしないよ。子どもの発育を促す為にもね。」

「老人に席を譲るのは、いいけど、子どもにはねぇ。空いてても座るなと躾けしたい。」

 反対、あるいは理解が出来ないと言ったコメントは、ほとんどが日本人か外国人であったのも特徴的だった。

 タイ人はバスしかなかった時代から、子どもに席を譲ることは当たり前の事だった。それは当初、道路事情がわるかったため、大きく揺れる車内で、足腰の安定していない子どもが転倒して、ケガをするのを防ぐためだ。

 電車が開通し、バスも格段に乗り心地が良くなった現在でも、この習慣が続いている。そして、そこにもちゃんと理由がある。今でも電車やバスには、急停車をすることがあり、バスはまだまだお世辞ににも安全運転と言い難い事が多い。こうした背景があるからこそ、タイ人は老人や妊婦、そして子どもに率先して席を譲る。

 確かにタイ人は、子どもを甘やかす傾向が強い。それを差引いても、子どもを社会全体で守ろうとする人情(タイ語では「心の水」ナムチャイという。)は、まだまだ非常に強く溢れている。

 そして、このナムチャイこそが世界中からの旅行者を魅了して止まない、タイの大きな魅力の源泉になっている。
【翻訳/編集 : そむちゃい吉田】

この記事の関連ニュース