2015年9月11日。珊瑚礁、海草棚、マングローブの森、そしてサバンナ草原。タイが熱帯であることを再認識させられる、自然の様々な表情を見ることが出来る島、プラトーン。
かつて島にあった村が丸ごと流されるという津波の被災から、住民、NGO、支援ボランティアらが一緒になって復興。その豊かな自然とともに歩む事を選んだ。
タイ南部パンガー県北部クラブリの西沖合に浮かぶ島へは、クラブリの街から少し離れた港からマングローブ樹林を縫うようにして向かう。この樹林帯は、津波の襲来時には、その勢いを削いで街を守った、まさしく自然の堤防となった森だ。
クラブリ側の本土から約30分ほど船に揺られると、一番近い村ターペヨイに着く。現在、3つある中で一番大きな村だが、人口はわずか180人。島全体でも約400人が暮らし、ほとんどが漁業で生計を立てている。
島には今も電気が無く、一部の村人は津波の被災直後に本土側に避難した先で、テレビを見て驚き、扇風機が首を振るたびに同じ方向に動いたという。
現在でも共同の発電機が、一日4時間だけ動かされ、電気が供給される。避難先に収容された数カ月後に、集団で島へ勝手に帰還したというほど島の暮らしを愛している人々だ。
「避難所で提供された家は、島より良い家だったけど、生まれ育った島の暮らしが一番。電気は昔から無いし、津波で流された家は、島の樹々でまたすぐに建てられる。」
当時、強制的に連れ戻しにきた役所の職員たちに村人はそう答えたという。
現在、プラトーン島はエコツーリズムをひとつの産業としている。自然の中で暮らす村人の家にホームステイして、島を覆う大自然に暮らす。それだけで、十分な観光資源だということを村人は知り始めた。それは島の自然を敬い、共に暮らしている人々に取っても、魅力的な産業ともなりつつある。
プラトーンとは、タイ語で黄金仏という意味だ。その昔、島から黄金の仏像が発掘された事からこの名が付けられた。島は豊かな緑に囲まれ、稀少な熱帯性の生き物の宝庫になっている。海には珊瑚礁や海草棚が島を取り囲み、マングローブも自生しており、今では貴重な地域だ。また、島の中央部にはまるでアフリカと見紛うようなサバンナ草原が広がり、そこにも稀少な食虫植物などが植生している。
また、島の西側には手つかずのビーチが広がっている。まるでプライベートビーチかのような静けさが漂っている。ここはハイシーズンでもまだ観光客は少ない。タイに残された数少ない未開発のビーチだ。
島の観光では、そうした自然をカヤックやマウンテンバイクで散策したり、開発されていない静かなビーチで過ごす事も出来る。また、マングローブのタイダイ染めで自分だけの作品を作ることもできるのがプラトーン島のエコツーリズムだ。
こうした自然をエコツーリズムの対象にすることは今や珍しい事ではないかもしれない。しかし、その収益がきちんと地元に還元され、村人自身がその運営に携わるというのは、まだ事例としては少ない。こうした地域貢献型の事業を専門的にはコミュニティーベースドツーリズム(地域基盤観光)とも呼ばれている。
南国タイで行われているこうした取り組みは、地方の活性化が謳われて久しい日本でも、参考にするべき事例ではないだろうか。また、観光地としても、まだまだガイドブックにも紹介されていない島ではあるが、ぜひ訪れて欲しい。ただし、大きめのバッテリーを携帯して行くのを忘れずに。
取材協力:ANDAMAN DISCOVERIES、ツナミクラフト
【取材/執筆 : そむちゃい吉田】
かつて島にあった村が丸ごと流されるという津波の被災から、住民、NGO、支援ボランティアらが一緒になって復興。その豊かな自然とともに歩む事を選んだ。
タイ南部パンガー県北部クラブリの西沖合に浮かぶ島へは、クラブリの街から少し離れた港からマングローブ樹林を縫うようにして向かう。この樹林帯は、津波の襲来時には、その勢いを削いで街を守った、まさしく自然の堤防となった森だ。
クラブリ側の本土から約30分ほど船に揺られると、一番近い村ターペヨイに着く。現在、3つある中で一番大きな村だが、人口はわずか180人。島全体でも約400人が暮らし、ほとんどが漁業で生計を立てている。
島には今も電気が無く、一部の村人は津波の被災直後に本土側に避難した先で、テレビを見て驚き、扇風機が首を振るたびに同じ方向に動いたという。
現在でも共同の発電機が、一日4時間だけ動かされ、電気が供給される。避難先に収容された数カ月後に、集団で島へ勝手に帰還したというほど島の暮らしを愛している人々だ。
「避難所で提供された家は、島より良い家だったけど、生まれ育った島の暮らしが一番。電気は昔から無いし、津波で流された家は、島の樹々でまたすぐに建てられる。」
当時、強制的に連れ戻しにきた役所の職員たちに村人はそう答えたという。
現在、プラトーン島はエコツーリズムをひとつの産業としている。自然の中で暮らす村人の家にホームステイして、島を覆う大自然に暮らす。それだけで、十分な観光資源だということを村人は知り始めた。それは島の自然を敬い、共に暮らしている人々に取っても、魅力的な産業ともなりつつある。
プラトーンとは、タイ語で黄金仏という意味だ。その昔、島から黄金の仏像が発掘された事からこの名が付けられた。島は豊かな緑に囲まれ、稀少な熱帯性の生き物の宝庫になっている。海には珊瑚礁や海草棚が島を取り囲み、マングローブも自生しており、今では貴重な地域だ。また、島の中央部にはまるでアフリカと見紛うようなサバンナ草原が広がり、そこにも稀少な食虫植物などが植生している。
また、島の西側には手つかずのビーチが広がっている。まるでプライベートビーチかのような静けさが漂っている。ここはハイシーズンでもまだ観光客は少ない。タイに残された数少ない未開発のビーチだ。
島の観光では、そうした自然をカヤックやマウンテンバイクで散策したり、開発されていない静かなビーチで過ごす事も出来る。また、マングローブのタイダイ染めで自分だけの作品を作ることもできるのがプラトーン島のエコツーリズムだ。
こうした自然をエコツーリズムの対象にすることは今や珍しい事ではないかもしれない。しかし、その収益がきちんと地元に還元され、村人自身がその運営に携わるというのは、まだ事例としては少ない。こうした地域貢献型の事業を専門的にはコミュニティーベースドツーリズム(地域基盤観光)とも呼ばれている。
南国タイで行われているこうした取り組みは、地方の活性化が謳われて久しい日本でも、参考にするべき事例ではないだろうか。また、観光地としても、まだまだガイドブックにも紹介されていない島ではあるが、ぜひ訪れて欲しい。ただし、大きめのバッテリーを携帯して行くのを忘れずに。
取材協力:ANDAMAN DISCOVERIES、ツナミクラフト
【取材/執筆 : そむちゃい吉田】