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【タイ】「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」11・ 田舎暮らし タイの結婚式

Global News Asia 2016年6月7日 9時25分

 2016年6月7日、シリーズ「世界で貢献するJICAシニア海外ボランティア」を定期的にお届けする。JICAシニア海外ボランティアとして、コラートで障がい児・障がい者の指導にあたられている大塚千枝子さんに「田舎暮らし タイの結婚式」について執筆してもらった。

 ナコーンラチャシーマー(コラート)に住んで1年9カ月。葬式に1回、結婚披露宴には3回出席しました。どちらも日本のそれとは全く違い、興味深い内容満載で貴重な体験をさせていただきました。今回はタイの結婚披露宴について書こうと思います。

 タイの婚姻スタイルはいろいろな要素が入り交じって時代と共に変化しているそうです。伝統的な婚姻スタイルやインド、中国などからの婚姻スタイルが主流でしたが、欧米式婚姻スタイルなどをベースに新たな婚姻スタイルができているとのことです。

 伝統的なタイ式の挙式では、寺院にて僧侶立ち会いの元行われます。私が出席した3回の結婚披露宴は全て自宅前にテントを張って行われました。バンコクなどの大都市ではホテルで行う人が多いそうですが、地方では自分の家や地域で行われることが多いようです。田舎では結婚後、新婦の家で暮らすようになることが多いそうです。

 私が出席した婿入りの結婚式では、新郎は仲人や友人、家族など新郎側の参列者と共に新婦の家まで行きます。楽器を鳴らし踊りながら、まるで何かのパレードのようです。新婦の家に到着後、新婦が家から出てきて新郎の足を洗ってあげて、一緒に家の中に入っていきました。さらに新郎の後ろには友人達が布団や枕、タオルケットなどを抱えて一緒に入っていきました。今日からここで寝るという覚悟の意味なのでしょうか? 友人達のプレゼント? 婿入り道具? 何に使うかはわかりますが、友人が持って入る意味がわかりませんでした。私には謎でした。

 どの披露宴でも、新郎新婦の頭には1m程の神聖な綿糸で編んだ冠が載っていて、2人の冠は白い糸でつながっています。この冠は2人の運命の結びつきを意味するそうです。赤い糸ではなく白い糸というところが面白いですね。2人を結ぶ白い糸は離れられない運命を意味しているのでしょうか? (しかし、タイの離婚率はかなり高いと言われています。)さらに参列者が新郎新婦の手に聖水を注ぎ、2人のそれぞれの手首に白い糸を結びました。聖水を注ぐのは清らかで円満な家庭生活を願う意味があるそうです。聖水を注がず、白い糸を結ぶだけの結婚式もありました。白い糸は魔除けとのことです。家庭生活にはいろいろな魔物が潜んでいますから、用心に越したことはありません。

 美味しいごちそうがたくさん振る舞われますが、日本のように乾杯で始まり乾杯で終わるということはありません。始まりと終わりが明確になっていないので、おおよその時間に集まり、お腹がいっぱいになったら披露宴参加者は三々五々に帰っていきます。

 ステージも設置されていますが、プロのきれいなお姉さんが衣装を替えながら歌っていました。もちろん参列者も歌ってはいましたが、少数でした。ステージで歌っている人は参列者から御捻り(タイは現金むき出しです)のようなものをいただいていたのは驚きでした。

 宴もたけなわなところで、新郎新婦は各テーブルを回りご挨拶をします。これは日本でもおなじみの光景ですが、新郎新婦の後ろを大きな鉢を持った女性が付いて歩き、ご祝儀を入れてもらっている様子は日本では見かけませんね。ご祝儀は受け付けでもよし、新郎新婦に糸を結ぶときでもよし、テーブル周りの時でもよしのようです。ご祝儀の金額は400バーツ、800バーツのように2で分けられる数がいいそうです。でも8は縁起が良くないそうで、400バーツが相場のようです。親しい友人や親戚、バンコクなどで行われるときはもっと多い金額とのことです。お祝いの気持ちがあればご祝儀なしでも良いよといわれましたが、ホテルなどで行われる場合はそうはいかないでしょうね。

 タイの法律では、男女は共に17歳に達すると婚姻が許され、結婚後は妻は夫の姓を名乗るそうです。タイでは一般の人々の間には新婚旅行はなく、式数日後、若夫婦は親戚や尊敬する人の所に報告に訪れ、祝福を受けるそうです。

お二人の幸せが末永く続きますように。
【執筆/撮影 : JICAシニア海外ボランティア大塚千枝子】

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