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【タイ】ミャンマー民主化で薄れる関心 苦境に立つ国境医療

Global News Asia 2016年11月2日 9時0分

 2016年11月2日、タイ・ミャンマー国境で、長年ミャンマー内戦から逃れてきた人々の医療をケアしてきたメータオクリニックが苦境に立たされている。進む民主化の陰で薄れゆく関心に取り残された国境の人々の医療。この事態を打開するために日本で支援を続けているNPO法人メータオ・クリニック支援の会がクラウドファンディングをスタートした。

 タイ軍事政権とミャンマー政府は、折しも10月25、26日の両日タイ北部メーソートにある難民キャンプからの引き上げを実験的に開始した。ミャンマー国内ではアウン=サン=スーチー氏を中心に民主化が推し進められており、この帰還は大きな一歩とも報道された。しかし、現実には生まれ故郷に戻った難民たちに待ち受けているのは、山積みの問題だ。住居、仕事、そして医療。人として生きるための環境自体が、長く続いた内戦でことごとく破壊されており、山には地雷も埋設されたままだ。

 また、タイにもミャンマー人労働者を受け入れ続けたい事情がある。現在タイ国内で就労するミャンマー人は200万人とも400万人とも言われている。特に危険、汚い、きつい、いわゆる3K労働から、最近では小売店の店員まで、今やミャンマー人労働者がいなくては、タイ社会自体も回らなくなっているという現実がある。

 こうした状況下で、タイとミャンマー国境に取り残された人々への関心は薄れている。そのために彼らが生きるためのケアを続けてきた「メータオ・クリニック」が今、財政難に陥っており、助かる命も助けられない状況になりつつあるという。

 「メータオ・クリニック」は、内戦避難民のための総合診療を目的として、自らも避難民だったシンシア医師が、1989年タイ北西部ミャンマー国境の街・メーソートに設立。以来、軍事政権による迫害・弾圧などによってタイに逃れて来た人々、貧困により国内では医療を受けられない人々のために、必要な医療を提供し続けてきた。現在、メータオ・クリニックを訪れる患者の数は、年間13万人にも上る。

 開設者のシンシア医師は、2002年にアジアのノーベル平和賞と言われるラーマン・マグサイサイ賞を受賞。2005年にはノーベル平和賞にもノミネートされた。

 クラウドファンディングの期間は60日。目標額は300万円で、看護師の養成や医療器具の購入を目的としている。寄付は1口3000円から受け付けており、詳しくは以下のサイトを参照されたい。

クラウドファンディングページ
https://readyfor.jp/projects/maetaoclinic-nurse

NPO法人メータオ・クリニック支援の会(JAM)
・ホームページ: http://japanmaetao.org/
・Facebook: https://www.facebook.com/JapanAssociationforMaeTaoClinic

【記事 : そむちゃい吉田】

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