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【ミャンマー】「二度と戦争は嫌」帰還始めたカレン族難民、故郷で生活再建目指す

Global News Asia 2017年3月22日 7時0分

 2017年3月22日、長らく続いたミャンマー国軍とカレン族武装勢力との停戦合意ののち、タイに逃れていたカレン族難民の帰還が徐々に始まっている。日本政府の資金で建設した住宅では、長引く難民生活に疲れ、故郷に活路を求めた難民の新しい生活が始まった。

 ミャンマー・カレン州のタイ国境近くのレーケーコー村には、草原一帯に真新しい一戸建ての住宅100戸が建設された。日本政府の予算を使って日本財団が建設したのだ。この地は、武装勢力のカレン民族同盟(KNU)の支配地域にあり、ミャンマー国軍との戦闘で荒れ果てた土地だ。ミャンマーでは1948年の独立直後から国軍と少数民族勢力などとの間で内戦が勃発。国軍とカレン族勢力側は60年以上にわたり戦闘を繰り広げてきた。2015年、他の少数民族武装勢力などとともに、前テインセイン政権との停戦合意に署名。和平は進んでいるものの、タイなどに逃れた7万人を超える難民らの帰還が課題として浮上している。

 新しい住居に移り住んだ68歳のオウンイーさんは、しわくちゃの指で遠くの岩肌をさらけ出した小高い山を指さした。「あの山は、昔は青々とした山だったのさ。戦火で形が変わってしまって、今では木も生えていないけどね。もう戦争は二度とごめんだ」。オウンイーさんは約30年前、内戦に追われる形でまだ8か月だった娘を抱えて国境を越えタイに逃れた。それからタイの難民キャンプを転々とする生活を送っていたが、今年1月にミャンマーに帰国した。

 オウンイーさんがかつて連れて逃げた娘のノーポールエムさん(32)も、一緒にミャンマーに戻った。彼女は、乳飲み子の時にタイに脱出したため、ミャンマーの記憶はない。それでも帰還を決意したのは、難民生活の厳しさからだった。「タイの難民キャンプでは外で働くことが許されなかったし、配給も減っていった」。母にとっては故郷であっても彼女には未経験の土地だ。レーケーコー村では、難民キャンプで出会い結婚した夫が農地を借りて豆などを栽培し、新しい生活基盤を確立しようと奮闘している。「子供にいい教育を受けさせたい。生活を支えるために、私も仕事を探したい」と話している。
【執筆 : 北角裕樹】

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