2017年3月24日、HSBC投信はインド経済レポート(2017年3月号)を伝えた。地方選挙で国政与党BJPが大勝、モディ政権の改革に一段の弾みがつきそうだ。
BJPは最大州ウッタルプラデシュ州で8割の議席を獲得
インドで3月11日、5州(ウッタルプラデシュ(UP)州、ウッタラカンド州、パンジャブ州、ゴア州、マニプール州)の州議会選挙の結果が一斉に開票された。
結果は、モディ首相率いる国政与党のインド人民党(BJP)の圧勝。インド最大の2億人の人口を有するUP州でBJPは8割の議席を制し、またウッタラカンド州でも8割を獲得した。パンジャブ州は事前予想通り国政野党の国民会議派が過半数を獲得し勝利を収めたものの、ゴア州、マニプール州ではBJPが地方政党を取り込み連合を組んだ。
結局、5州のうち4州でBJPが政権の座を獲得することになる。全体で見ると、BJP及び連立する政党が政権を握ると見られる州はインドの人口の58%、国内総生産(GDP)で54%を占めることになる。
モディ政権は2014年に発足し、次回総選挙は2019年に予定されており、今回の州議会選挙は中間評価として注目されていた。BJPの大勝は、昨年11月の高額紙幣廃止を含むモディ政権の改革への強い支持を示すものと言える。
UP州は、人口でインド29州の中で最大というだけでなく、一人当たり国内総生産(GDP)で見ると2番目に貧しい州である点も注目に値する(UP州の人口は全国の17%を占めるがGDPでは8%相当に過ぎない)。モディ政権は経済界や中間層以上の支持が高いことで知られるが、農村振興をはじめ貧困対策に注力しており、この政策が国民の大半を占める地方貧困層の支持獲得に繋がったようだ。
BJPが上院でも第1党に、構造改革に一段の弾み
一方、インドでは地方選の結果に上院の議席数が連動するため、今回の地方選を受けて、BJPは上院で議席を増やすことになる(上院議員の任期は6年、2年ごとに3分の1が交代する仕組み)。現在、BJPは下院では単独過半数を握る一方、上院では少数派であるが、今後、BJPは上院でも野党国民会議派に代わり第1党の地位を固める見通しとなった。これまで上院の反対に遭い棚上げされてきた「土地収用法」などの重要改革法案も、成立する可能性が出てきた。
政府は今年7月に物品サービス税(GST)を導入する予定である。これは現在、中央政府と各州がばらばらに課している間接税を一本化する戦後最大の税制改正であり、改革の大きな前進として注目される。今後は、政権基盤が一段と強化される中、さらにこうした改革の動きが加速することが期待される。
マーケットサマリー(株式・債券・為替市場)
1-3月期の株式市場は堅調に推移、アジアの中でも上昇が目立っている。債券市場はインド準備銀行
(中央銀行)が市場の利下げ予想に反し政策金利を据え置いたことから2月に下落(利回りは上昇)。
インドルピーは対米ドルで上昇、対円ではレンジ内での推移(いずれも3月22日時点)。
【編集 : UK】
BJPは最大州ウッタルプラデシュ州で8割の議席を獲得
インドで3月11日、5州(ウッタルプラデシュ(UP)州、ウッタラカンド州、パンジャブ州、ゴア州、マニプール州)の州議会選挙の結果が一斉に開票された。
結果は、モディ首相率いる国政与党のインド人民党(BJP)の圧勝。インド最大の2億人の人口を有するUP州でBJPは8割の議席を制し、またウッタラカンド州でも8割を獲得した。パンジャブ州は事前予想通り国政野党の国民会議派が過半数を獲得し勝利を収めたものの、ゴア州、マニプール州ではBJPが地方政党を取り込み連合を組んだ。
結局、5州のうち4州でBJPが政権の座を獲得することになる。全体で見ると、BJP及び連立する政党が政権を握ると見られる州はインドの人口の58%、国内総生産(GDP)で54%を占めることになる。
モディ政権は2014年に発足し、次回総選挙は2019年に予定されており、今回の州議会選挙は中間評価として注目されていた。BJPの大勝は、昨年11月の高額紙幣廃止を含むモディ政権の改革への強い支持を示すものと言える。
UP州は、人口でインド29州の中で最大というだけでなく、一人当たり国内総生産(GDP)で見ると2番目に貧しい州である点も注目に値する(UP州の人口は全国の17%を占めるがGDPでは8%相当に過ぎない)。モディ政権は経済界や中間層以上の支持が高いことで知られるが、農村振興をはじめ貧困対策に注力しており、この政策が国民の大半を占める地方貧困層の支持獲得に繋がったようだ。
BJPが上院でも第1党に、構造改革に一段の弾み
一方、インドでは地方選の結果に上院の議席数が連動するため、今回の地方選を受けて、BJPは上院で議席を増やすことになる(上院議員の任期は6年、2年ごとに3分の1が交代する仕組み)。現在、BJPは下院では単独過半数を握る一方、上院では少数派であるが、今後、BJPは上院でも野党国民会議派に代わり第1党の地位を固める見通しとなった。これまで上院の反対に遭い棚上げされてきた「土地収用法」などの重要改革法案も、成立する可能性が出てきた。
政府は今年7月に物品サービス税(GST)を導入する予定である。これは現在、中央政府と各州がばらばらに課している間接税を一本化する戦後最大の税制改正であり、改革の大きな前進として注目される。今後は、政権基盤が一段と強化される中、さらにこうした改革の動きが加速することが期待される。
マーケットサマリー(株式・債券・為替市場)
1-3月期の株式市場は堅調に推移、アジアの中でも上昇が目立っている。債券市場はインド準備銀行
(中央銀行)が市場の利下げ予想に反し政策金利を据え置いたことから2月に下落(利回りは上昇)。
インドルピーは対米ドルで上昇、対円ではレンジ内での推移(いずれも3月22日時点)。
【編集 : UK】