2017年5月19日、JICAカンボジア事務所が発行する「カンボジアだよりNo69」に『プノンペンの信号、2018年初めまでに全基点灯』と題する記事が掲載された。
(記事)プノンペンの各所で今、信号機の設置が進んでいます。これは日本の援助による「プノ ンペン交通管制システム整備計画」に基づく工事で、都内100カ所に及ぶ信号機を整備・新設し、中央制御するための交通管制センターを建設することになっています。
新しい信号機を目にするみなさんの一番の関心事は「いつ、作動開始するのか?」でしょう。4月24日、日本大使館で開かれた記者勉強会でのJICAの説明によれば、その時点ですでに12カ所の信号機が作動を始めています。ただ、プノンペン都の担当者によると、100基全てがネットワーク化されて交通管制センターとつながるのは2018年の初めになりそうです。
●どんなシステムに?
整備計画では、都内64カ所の信号機を付け替え、加えて36カ所で新設します。それぞれの信号機に制御機や車両感知器をつけ、信号機は光ケーブルで、プノンペン都庁の新館9階に整備される交通管制センターと結ばれます。こうすることで、信号機は交差点に流入する交通量を感知し、青信号の時間の長さを自動的にコントロールします。交通量が多い時には長めに、少ない時には短めに、と変化させることで、自動車の流れをよりスムーズにするので す。また、26カ所の交差点にモニター用のカメ ラが設置され、交通管制センターで一括監視をします。モニターで交通状況を監視し、あるいは現場からの通報により、センターから信号機のタイミングを変えることもできます。
●なぜ工事に時間がかかる?
信号機の整備・設置の工事が始まったのは 2016年3月です。ただ、プノンペン都の担当 者によれば、設置予定地での工事に難色を示す人も現れ始めました。公共の道路に建設する信号機ですが、自分たちの店舗経営や通行の邪魔 になる、というのがその主な理由です。その場 合、信号機の意義を説明しながら、一つひとつ 協議をして解決をして設置するので工事がずれ込むこともありました。ネットワーク化された信号システムの「効果」は、全体が作動しないと分かりにくいものです。しかしJICA専門家によれば、中央制御システムまで完成すれば、プノンペンは東南アジアでも有数の規模を誇る最先端の交通システムを持つ都市となります。一日も早い完成を目指して、関係者は努力を続けています。
●街はどう変わる?
それでは、この整備計画でプノンペンの街はどのように変わるのでしょうか。JICAが期待する主な「効果」は、次のようなものです。・渋滞が減り通行速度が約14%速くなる。 (時速12.5キロから時速14.2キロへ) ・交通警察の派遣が約2割減る。・交通事故が減少する。教訓も含めた前例となるのが、1960年代の日本です。日本にも、それまで中央制御システムがありませんでした。急増する車両により各地で渋滞が起き、交通事故も多く発生し「交通戦争」とまで呼ばれました。それが現在のように改善されました。交通事故による死者数は年間 1万6千人を超えていましたが、現在は年間約4,000人です。ただ、日本が60年代の交通戦争を脱したのは、制御装置の力だけではありません。道路の整備、車検制度の整備、公共交通機関の改善、交通法規の改正など、多方面での交通インフラの整備が実施されたからです。さらに重要なのは交通教育です。いくら最先 端の交通管制システムを整えたところで、使う人たちがルールを守らなければ街は変わりません。JICAも、交通安全の啓発ビデオなどを通して、交通教育の重要性を訴えています。
【編集 : AU】
(記事)プノンペンの各所で今、信号機の設置が進んでいます。これは日本の援助による「プノ ンペン交通管制システム整備計画」に基づく工事で、都内100カ所に及ぶ信号機を整備・新設し、中央制御するための交通管制センターを建設することになっています。
新しい信号機を目にするみなさんの一番の関心事は「いつ、作動開始するのか?」でしょう。4月24日、日本大使館で開かれた記者勉強会でのJICAの説明によれば、その時点ですでに12カ所の信号機が作動を始めています。ただ、プノンペン都の担当者によると、100基全てがネットワーク化されて交通管制センターとつながるのは2018年の初めになりそうです。
●どんなシステムに?
整備計画では、都内64カ所の信号機を付け替え、加えて36カ所で新設します。それぞれの信号機に制御機や車両感知器をつけ、信号機は光ケーブルで、プノンペン都庁の新館9階に整備される交通管制センターと結ばれます。こうすることで、信号機は交差点に流入する交通量を感知し、青信号の時間の長さを自動的にコントロールします。交通量が多い時には長めに、少ない時には短めに、と変化させることで、自動車の流れをよりスムーズにするので す。また、26カ所の交差点にモニター用のカメ ラが設置され、交通管制センターで一括監視をします。モニターで交通状況を監視し、あるいは現場からの通報により、センターから信号機のタイミングを変えることもできます。
●なぜ工事に時間がかかる?
信号機の整備・設置の工事が始まったのは 2016年3月です。ただ、プノンペン都の担当 者によれば、設置予定地での工事に難色を示す人も現れ始めました。公共の道路に建設する信号機ですが、自分たちの店舗経営や通行の邪魔 になる、というのがその主な理由です。その場 合、信号機の意義を説明しながら、一つひとつ 協議をして解決をして設置するので工事がずれ込むこともありました。ネットワーク化された信号システムの「効果」は、全体が作動しないと分かりにくいものです。しかしJICA専門家によれば、中央制御システムまで完成すれば、プノンペンは東南アジアでも有数の規模を誇る最先端の交通システムを持つ都市となります。一日も早い完成を目指して、関係者は努力を続けています。
●街はどう変わる?
それでは、この整備計画でプノンペンの街はどのように変わるのでしょうか。JICAが期待する主な「効果」は、次のようなものです。・渋滞が減り通行速度が約14%速くなる。 (時速12.5キロから時速14.2キロへ) ・交通警察の派遣が約2割減る。・交通事故が減少する。教訓も含めた前例となるのが、1960年代の日本です。日本にも、それまで中央制御システムがありませんでした。急増する車両により各地で渋滞が起き、交通事故も多く発生し「交通戦争」とまで呼ばれました。それが現在のように改善されました。交通事故による死者数は年間 1万6千人を超えていましたが、現在は年間約4,000人です。ただ、日本が60年代の交通戦争を脱したのは、制御装置の力だけではありません。道路の整備、車検制度の整備、公共交通機関の改善、交通法規の改正など、多方面での交通インフラの整備が実施されたからです。さらに重要なのは交通教育です。いくら最先 端の交通管制システムを整えたところで、使う人たちがルールを守らなければ街は変わりません。JICAも、交通安全の啓発ビデオなどを通して、交通教育の重要性を訴えています。
【編集 : AU】