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【インド】財政規律と経済成長のどちらに重点ーHSBC投信

Global News Asia 2017年9月27日 16時45分

 2017年9月27日、HSBC投信は、臨時レポート(インド市場を見る眼~現地からの報告)を伝えた。

 (レポート)トピックス:モディ政権は減速気味のインド経済を底上げするために景気刺激策を検討中と報じられている。財政規律と経済成長のどちらに重点が置かれるかが注目される。

マーケットサマリー:インド株式市場は8月に入り下落した後に反発、債券市場はインフレ率の小幅上昇などからやや売り優勢の展開となっている(9月22日現在)。

トピックス:財政健全化から景気刺激ヘシフト?

地元メディアは、モディ政権が、減速気味のインド経済を底上げするために、従来の財政赤字目標を緩めて、77億米ドル規模の景気刺激策を検討中と報じている。

4-6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年同期比+5.7%と予想外に低く、前四半期の+6.1%、前年同期の+7.9%を下回った。成長減速の主因は、物品サービス税(GST)導入と高額紙幣廃止がもたらした一時的混乱によるものと見られる。

検討中の景気刺激策の詳細は明らかにされていないが、銀行の資本増強のための公的資金注入と雇用創出策が目玉となりそうだ。景気刺激効果については、具体的政策の発表を待たねばならない。モディ政権の政策スタンスの重点が財政健全化・財政規律と経済成長のどちらに置かれるか、より明確になるのはまだ先となりそうだ。

政府の財政政策では、「歳出の質」に注目すべきだろう。それは歳出構成、すなわち投資的経費と消費的経費の割合を見ればわかる。投資的経費に重点を置く歳出であれば、競争力向上につながり、経済に長期にわたり好影響をもたらすとともに、インド財政の長期持続可能性への懸念を和らげる効果も期待できよう。

2017年度(2017年4月-2018年3月)の財政赤字は7月末時点で、すでに年間目標の92.4%に達している。政府は、インド準備銀行(中央銀行)からの配当金の減少、通信事業者からの繰延周波数使用料支払いの滞り、国有企業等の政府保有株式売却の遅延による歳入不足を埋める必要がある。また、景気がさらに減速すれば歳入に影響が及ぶのは必至である。さらに、GST導入により税収が今後いかに変化するかも不透明と言える。

インド政府は、中期的な財政健全化目標として、GDP比で財政赤字を2017年度は3.2%、2018年度は3.0%にするとしている。しかし、財政責任・予算管理(FRBM)見直し報告書は、年間目標から0.5%までの超過を容認する「免責条項」を設けている。また、「免責条項」の適用が想定される状況の1つとして「財政に予期せざる影響を及ぼす経済の広範囲な構造改革」が規定されている(但し、翌年度に当初赤字目標に戻す条件付き)。当社は、GST導入と高額紙幣廃止に伴い歳入不足が生じれば、この免責条項が適用されると見ている。

財政健全化目標が緩めば、金融緩和余地が制限され、インドの格付け引き上げが遅れることも考えられる。財政赤字上限の引き上げと政府借り入れの拡大への懸念が、インド国債やインドルピーに短期的な影響を及ぼす恐れもあるだろう。一方、モディ政権が長期的に財政健全化を堅持する姿勢を変えなければ、財政赤字が目標を短期的に超えたとしても、マクロ経済の安定を損なうことはないと見られる。

【編集 : AS】

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