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【シンガポール】パナソニックが産直農家事業を拡大=安全な葉物野菜を提供

Global News Asia 2014年8月13日 11時31分

 2014年8月13日、シンガポールの大戸屋に、日本の新鮮な野菜が毎日届けられていると聞くと、航空貨物での空輸かと思いがちだか、産直農家のような事業をシンガポールで行っているのが、パナソニック ファクトリーソリューションズ アジアパシフィック(Panasonic Factory Solutions Asia Pacific )だ。

 日本食レストラン大戸屋との商業パートナーシップをスタートさせ、シンガポール国内で育て収穫した野菜の供給を行っている。供給するプレミアム日本野菜は、サニーレタス、水菜、ラディッシュの3種類。

 これらの野菜は、シンガポール国内初となる政府認定屋内野菜工場で、徹底した管理、最適条件のもとで生産する。国土面積が乏しいシンガポールでは、野菜全体消費量のわずか8%しか国内産がなく、シンガポール政府機関の食料管理動物保護局が目指している葉物野菜の自給率向上に、パナソニックの技術とそれを駆使した工場での実生産・収穫によって貢献するもの。

 パナソニックでは現在、シンガポール国内野菜生産量の0.015%を生産しているが、これから生産量を拡大させ、2017年3月末には、5%まで引き上げたいと考えている。

 パナソニックの馬場英樹社長は、「これらのプレミアム日本野菜は、パナソニックの生産技術とモノづくりのノウハウを融合させることで、温度、湿度、そしてCO2レベルをモニタリング管理された最適なコンディションで育てられており、高い生産性を確保しながら年間を通じて安定的な供給が可能です。土をベースとした当社の耕作手法は、無農薬で、食料管理動物保護局の厳しい食の安全基準にも沿うかたちで運営しています。また、当社の屋内野菜工場はHACCP認定(食の安全認定制度)も取得済みです。シンガポールで消費されている野菜の90%以上が輸入に頼っている中、パナソニックの屋内野菜工場が、同国の野菜自給率向上に貢献すると同時に、食の品質向上を通じて“A Better Life, A Better World”の実現を目指していきます」と述べた。

 248平方メートルある屋内野菜工場では、サニーレタス、水菜、レッドラディッシュ、ホワイトラディッシュに加えて、グリーンレタス、ルッコラ、バジル、大葉、三つ葉、ベビーホウレンソウの10種類の野菜が育てられている。葉物・根菜いずれの野菜も、LED照明設備のもと、管理された土ベースの環境で育てることが可能。現在の総生産量は年間3.6トン。この屋内工場生産により、日本から同等の高品質なプレミアム野菜を輸入するコストと比較して、大幅なコストメリットが得られるという。

 パナソニックは、野菜育成棚の収容能力拡大、35日から28日への耕作期間の短縮、面積生産性向上、対象農作物種類拡大など、さらなる研究開発を強化。2017年3月末までには、30種類以上の農作物栽培を実現する計画。

 今年度、同国の市場規模を調査し、野菜を供給するレストランやスーパーマーケットなどの顧客開発にも取り組む。現在はクレメンティモール、オーチャードセントラル、チャンギシティポイントにあるシンガポール国内3店舗の大戸屋のみに毎月平均0.3トンの野菜を供給しているが、今後2年間で生産量を倍増させるとともに、新たなプレミアム日本野菜も加え、供給できる作物のバリエーションを増やす予定。

 タイハーブをたくさん使用するタイ料理や、食を通じての健康法にも詳しい・タイ医学研究家の宮原由佳さんは、「健康を維持するには、無機塩類やビタミン類、食物繊維を豊富に含み、抗酸化作用を促してくれる野菜を摂ることは不可欠になってきます。そしてそれが無農薬で、かつコスト面も抑えられるならこの上ないですよね。このような研究開発には今後、期待が高まっていくでしょう」と話す。

 また、中国では、野菜の残留農薬が多く野菜専用洗剤で洗った後、オゾン水に30分程度浸して、残留農薬を減らしてから、調理を始める人も多いという。安心、安全で、美味しい野菜の需要は高く。シンガポール以外でも多くニーズが予想される。

【編集 : 安麻比呂 】

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