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【コラム】漂流物から見える北朝鮮の経済推移

Global News Asia 2022年9月16日 6時0分

 日本海側の海岸には、北朝鮮や韓国、中国などからの漂流物が打ち寄せられている。漂流物とはいうが、要は不法投棄したものが流れつくということだ。国交はないとは言え、国家レベルで「不法投棄」を禁止する条約ができたとしても、国民一人一人の価値観だから、おそらく流れ着くことがなくなる日はこない。流れ着いた日本の自治体が、予算を計上して、海岸線の美化を守らなければならない。

 ただ、コロナ禍になり、北朝鮮からの漂流物は確実に減っていると住民は証言する。

 例えば、北朝鮮からの「ペットボトル」が漂着物の中に含まれるようになったのは、2015年ごろから。経済が回りだして北朝鮮の貧しい経済の中でも、ペットボトルが作られるようになったのかもしれない。最初に確認されたのが、2016年冬。最盛期が2019年で、一回の収集で、45リットルのゴミ袋が2つ満杯になった。それが、コロナ禍になってからは、1時間に1~2本見つかるか見つからないか(相対的に流れ着く量は少ない。日本人がポイ捨てする方が絶対的に多い)。

 北朝鮮では、酒類のペットボトルもある。また、ヨーグルト飲料には「背が伸びる」。マッコリのパッケージには「皮膚によく、がんが治る」とも。薬事法に準ずるものはないらしい。

 流れ着かなくなったのには、ペットボトル用の樹脂の輸入低下。製造できないか、あるいは、不法投棄しない富裕層にしか行き渡らないようになったと推測される。富裕層が使ったペットボトルを、国民が拾いあげ、貴重な容器として再利用している。

 …リサイクルマークのあるペットボトルもあり、SDGs意識の高い北朝鮮国民がいることも知ることができる。人がごみを捨てるピクトグラムが描かれているのもある。

 ゴミからわかるお国事情もある。国交がないだけに、それは推測に過ぎないが、ごみが減るのは、意識が高くなったのではなく、ゴミとするものがなくなっているという見方もできるわけである。
【編集 : fa】

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