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【コラム】ナザレ園~宗教法人とは、時に不思議なつながりをする 韓国

Global News Asia 2022年12月11日 11時0分

 「慶州ナザレ園」。詳しくはどんなところかは知らないけれど、ナザレ園という言葉を聞いたことのある人は多いかもしれない。

 韓国は慶州にある、日系の女性たちを支援する施設だ。開園したのは、50年前、1972年10月1日。戦前・戦中に、韓国人(わずかだが韓国在住の外国人も含む)と結婚し、当時の朝鮮半島に渡った妻たち。しかし、敗戦によってボロくずのように捨てられたり、その後起こった朝鮮戦争で夫と生き別れになったり、いろんな事情があったものの、日本に戻ると言う選択をせず、朝鮮半島に残った日本人女性の一時避難所として設立された。

 一時避難所当時は、まだ帰国の意思のある女性の「日本側の身元引受人」の調査職務もあった。ただ、現代よりもより反朝意識の強かった日本において、朝鮮人と結婚することは、勘当を意味しており、日本の戸籍を辿るも、死亡扱いになっていたり、国籍を失っていたりの帰れない事情も多分にあった~それでも支援者の尽力で、百数十人の女性は帰国した。

 けれど帰れない女性たちは、今もナザレ園に身を寄せているということだ。50年前に設立に尽力した日本人牧師も、韓国人慈善団体会長もすでにこの世にはいない。ナザレ園の母体は、日本に存在するが…韓国的には、韓国人の力によってできた施設とされている。平均年齢95歳の9人の女性が、今暮らしている。そして、見世物小屋でもあるまいに、若人の翼などの研修と言う名の観光施設にもなっている。

 ナザレとは、イエス・キリストのふるさと。創設者が、キリスト教牧師。ここまでは一貫している。しかし、キリスト教はより聖書に寄り添えば寄り添うほど、献金されたものを社会奉仕に活用し、教会自体は窓ガラス一枚直すことができない貧乏さがある(日本の老舗教団の牧師で、教会に住み込んでの月収8万円程度)。

 ナザレ園も、キリスト教に沿って今も運営されているとしたら、9人は韓国の生保で何とかなるにしても、介護職員などを雇う余裕はない。

 今、ナザレ園は、法華経の基に霊友会とたもとを分かつた「立正佼成会」(霊友会から独立)の援助を受けている。援助を受ける事態責めるべきことではないが、キリスト教と法華経が混在し、観光スポットとされている、なんとも理解しがたい高齢者施設。これもまた、福祉法人と言う名の宗教法人の形である。
【編集 : fa】

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