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【コラム】そこは無料で助けると言う手段はないのだね 韓国

Global News Asia 2023年1月5日 6時0分

 世界中にウクライナ難民が散らばり、つかの間の安住の地で2023年を迎えた。いつ故郷に帰れるのか見通しは全く立っていない。

 約11カ月。難民認定されていたとしても、気持ちとしてはこのまま移住という選択をするには、とても短い期間だ。定職に就くにも、各国のやり方、法律の範囲内でしかできない。おそらく、ウクライナを離れても、金銭的にやっていける国民はごくわずかであろう。

 2022年10月半ばのこと。7月に観光ビザで家族と共に、韓国に入国した70代前半の男性が脳出血で倒れた。すぐに近隣の病院に運ばれて、命を取り留めることはできた。しかし、回復するまでの入院費などが払えるわけもなく、外科的手術は費用面でできなかった。

 1日の検査費用だけで約31万円かかるという(アメリカだと、同様の病気でパスポートもビザもない不法滞在者は、10日間の入院で1000万円かかると言われている。それからしたら、韓国は安い)。

 一般的な治療法だが、脳梗塞ならば、梗塞部分を点滴に薬剤を投入して内科的処置で回復することもできる。しかし、脳出血は、出血部位の血液を、カテーテル手術や開頭手術で取り除かねばならない。それなりの腕(技術)を持った医師に出会うことも必要だ。

 韓国国内では、比較的安い金額で入院治療ができると言われている仁川の病院に転院せざるを得なかった。

 韓国人も人の子。ウクライナ難民に同情的感情がある人もいる。事情を聴いた病院職員が、仁川市と仁川観光公社の推進している医療事業の対象者として、推薦したのだ。約83万円の支援金が出た。もちろん、それだけでは足らない。しかし、集中治療室での治療は受けられている。

 1人の難民の命を無償で治療したら、国民からの反発はもちろんのこと、我も我もと収拾がつかなくなる。だが、戦争という理不尽な出来事で命を落としたくないとして韓国に避難してきた「命」を、お金の心配なくなんとかできないものなのだろうか。

 このウクライナ人の家族は、手書きの手紙を病院に送っている。それが実は、今できる精一杯の感謝なのかもしれない。
【編集 : fa】

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