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中国で日本人男性拘束、反スパイ法の恣意的適用が背景に? 国家安全当局の権限拡大に警鐘

Global News Asia 2023年3月28日 2時0分

 2023年3月、中国で日本人男性が拘束されたことが分かった。中国外務省は「反スパイ法」に違反した疑いがあると発表した。この法律は2014年に施行され、国家安全に関する情報を外国に提供したり、外国の機関や個人から指示を受けて活動したりすることを禁止している。しかし、この法律は非常に曖昧で広範囲に適用されるため、日本人やほかの外国人は、日常的な会話や交流でも容易に罪に問われる可能性が高い。

 中国では反スパイ法以外にも国家安全法という法律があり、2015年に施行された。この法律は、中国の国家安全に関する情報や活動を規制するもので、中国本土だけでなく、香港やマカオなどの特別行政区にも適用されている。特に香港では、2020年に香港国家安全維持法という別の法律が制定された。この法律は、分離主義やテロリズム、外国勢力の干渉などを禁止し、最高で無期懲役を科すとしている。しかし、この法律は非常に曖昧で広範囲に適用されるため、香港の民主派や市民の自由や権利を侵害するものだと批判されている。

 中国で活動する日本人は、ビジネスや学術などの専門分野に関する知識や情報を持っていることが多い。これらの情報は、中国にとって有益であったり、国家安全に関係するものであったりする可能性がある。そのため、中国当局は、日本人に対してスパイ活動を疑ったり、情報を引き出そうとしたりすることがある。

 例えば、今回拘束された男性はアステラス製薬の社員で 、駐在期間を終えて帰国直前だった。このようなタイミングで拘束されることは、中国側が彼の持つ情報を奪おうとした可能性が高いと考えられる。

 また、中国共産党は、これらの法律を利用して、自らの権力や利益を守るために、外国からの影響や批判を排除しようとしていると考えられる。また、日本人を拘束することで、日中関係や東アジア情勢に対する圧力手段としても使っている可能性がある。

 例えば、2019年には日本人教授2人が拘束された 。この事件は、香港デモや尖閣か諸島問題などで日中間の対立が高まっていた時期に起きた。また、2020年には日本人学生4人が拘束された。これは、新型コロナウイルスやウイグル問題などで日中間の対立が高まっていた時期に起きた。

 中国で拘束された日本人は、非公開の裁判で厳しい刑罰を受けたり、長期間の監禁や拷問に耐えたりしなければならない場合が多くある。そのため、中国で活動する日本人は、常に自分の言動や交友関係に注意しなければならない。

 中国の反スパイ法や国家安全法は、国際法や人権に反するとして、国際社会から批判を受けている。しかし、中国はこれらの批判を無視し、自国の主権や利益を優先する姿勢を貫いている。日本は中国との関係を重視する一方で、自国民の保護や情報の安全確保にも努めなければならない。そのためには、中国と対等に交渉できる法的な基盤や外交的な力量を強化することが必要だ。
【編集 : LF】

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