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南シナ海で緊張が高まる 中国の侵略に周辺国が反発

Global News Asia 2023年6月19日 7時0分

 2023年6月、南シナ海で緊張が高まっている。中国は周辺国の海域を実効支配しようとしており、地域衝突の危機が迫っている。

 フィリピンは米軍に9拠点(4拠点増・今年2月)の使用を許可した。これは防衛協力強化協定(EDCA)の一環で、南シナ海問題でアメリカとの協調姿勢を示したものだ。対象となる基地はカミロ・オシアス海軍基地やラルロ飛行場などだ。これらの基地は南シナ海に近く、中国の軍事的挑発に対抗するために重要な役割を果たすと見られている。

 台湾のスプラトリー諸島の一部である太平島周辺海域で、実弾演習を行った。中国の交通運送省は同諸島のイービング礁やガベン礁などに識別信号を設置した。これらは航海の安全を口実にしたものだが、実際は領有権を主張するためだ。

 ベトナムの排他的経済水域(EEZ)に3月6日から4月2日まで、中国の海洋調査船「海洋地質4号」が何回も現れた。5月7日から6月6日まで「海洋調査船 向陽紅10号」(クレーンや通信マストを撤去して衛星追跡用のレーダーアンテナを設置するなどした改造船)で違法な調査活動を行った。中国側は危険な行為を行い、ベトナムの監視船を威圧したのだ。

 ベトナムは中国の海洋調査船が自国の排他的経済水域(EEZ)に侵入し、違法な調査活動を行ったことに抗議した。中国側はベトナムの監視船を威圧する危険な行為を行ったという。

 ベトナム外務省は、台湾に対する実弾演習中止と中国の調査船の撤退を要求した。また、パラセル諸島やスプラトリー諸島に対して法的根拠と歴史的証拠に基づく主権を主張した。

 南シナ海における中国の行動は各国の不安を増加させている。海洋紛争を解決するためには、中国は侵略行動を中止すべきだ。沿岸各国は国連海洋法条約(UNCLOS)に基づいて主権や権利を尊重する必要がある。

 日本も南シナ海問題に関心を持っている。今年3月、インドを訪問した岸田首相は「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」のため新たなプランを発表した。平和原則やルール、多層的連結性など「4つの柱」を打ち出した。これは中国の覇権主義に対抗するための戦略的なビジョンだ。

 G7広島サミットでは航海安全問題が重要な内容だった。G7共同声明では一方的な行動や軍事化に懸念を示し、法支配に基づく国際秩序の堅持・強化することが強調された。また、南シナ海や東シナ海の平和と安定を呼びかけ、中国が紛争海域の軍事化や危険な運用を行うことに深く懸念を表明した。

 南シナ海は多くの国に関連しており、平和的な紛争解決を守る必要がある。UNCLOSの確定で、各国の権利や尊重が求められている。各国で協力して解決策を模索することが必要だ。

 南シナ海は世界の海運量の約3分の1が通過する重要な海域だ。また、豊富な漁業資源や石油・天然ガスなどのエネルギー資源も埋蔵されているとされる。このため、中国や台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイなどが領有権を主張している。

 中国は1947年に発表した「九段線」と呼ばれる線で南シナ海のほぼ全域を自らの領土と主張している。しかし、この線は国際法上の根拠がなく、他国からは認められていない。2016年にはオランダ・ハーグの常設仲裁裁判所がフィリピンの訴えを受けて中国の主張を全面的に否定する判断を下したが、中国はこれを拒否した。

 中国は南シナ海で人工島を建設し、軍事施設や兵器を配備している。これは領有権を強化するためだけでなく、南シナ海を自らの「内海」として支配しようとする野心的な計画でもある。中国は南シナ海で自らの影響力を拡大し、アメリカや日本など他国の介入を阻止しようとしている。

 南シナ海問題は単に領土問題ではなく、地域秩序や国際法、安全保障や経済発展など多くの側面に関わる複雑な問題だ。中国と周辺国との間で対話や協議が進められることが望ましいが、現実には中国は一方的な行動を続けており、紛争の解決に向けた展望は見えていない。
【編集 : af】

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