【コラム】ベトナムが韓国を責めないのは、同じ穴の狢になりたくないから

　韓国の尹錫悦大統領が、ベトナムを訪問した。そして、韓国の歴代大統領が、ベトナムを訪れる際に必ず詣でる、ベトナム独立の国父ホー・チー・ミン元国家主席の廟に行った。

　献花と黙とうをし、追悼の意を表した。これは歴代大統領と同じだが、それ以外の重要な点が大きく違った。尹大統領は、ベトナム戦争の際に、韓国兵たちがベトナムの国民に対して行った蛮行についての謝罪をしなかった…「もう、ベトナムは過去を問わない」という自己の判断のもと。

　歴代大統領も、一つ一つの蛮行を明らかにして謝罪をしたわけではない。特にライダハンなど、言葉にしたら、韓国が日本に長年行っていることの逆ブーメランになりかねない。あくまでも両国間の不幸な歴史に申し訳ないとぼかしている。謝罪を言葉として大雑把に伝えるだけで、心の中では舌を出しているかもしれない。だったら、あえて触れないことは、悪いことではない。

　尹大統領は、過去は過去のこととして、韓国とベトナム両国は経済発展という未来を協力して作り上げようと、希望を伝えた方がベストと考えたのだろう。

　韓国側は、歴代大統領が謝罪するとベトナム政府が難色を示してきたからと主張する。謝罪だけされても、賠償金を韓国が支払うわけがないと知っているから、心にもないことを言うなよ！ の憤怒の難色ではないのか。まだまだ日本からお金を引き出そうとしている国に、ベトナムも同じことをしたら、国際社会においてベトナムが韓国と同じレベルになるというプライドを持っているのではないか。

　謝罪に加える行為を行わないのならば、言葉にしなくていい。そのかわり、ベトナムにすべて許されたと勘違いしないことだ。

　ちなみに、謝罪のパフォーマンスなのか、廟訪問の際は雨が降っていたが、韓国側は傘を差さなかったということだ。
【編集 : fa】